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「……」
「おはよ！A〜！……って、どうしたどうした？元気ないよ？」
「あ、……うん。おはよう、ちょっと、その」
わたしの前の席の友達。
ふわふわした金色の髪をサイドで一つ結びにした彼女は、以前そらる先生がイケメンだとか志麻せんぱいの事が好きなのかと騒いでいた子。
高校生になって初めて出来た友達だ。
「もしかして…、噂の、こと？」
「……」
「ちっ…。たく、そんなしょうもない事するのは一体誰よ！」
こくりと頷き下を向いたまま。目の前にいる彼女はキッと影で隠れて話していた子を睨んで黙らせる。少しの緊迫感があるのは、望ちゃんがクラスの中で中心的な人物だからだろう。
この子に嫌われたら孤立してしまう。そんな雰囲気が彼女の魅力だから、皆望ちゃんには牙を向けることはなかった。
「あんなしょうもないこと流す奴の事なんて気にしなくていいから……！って、言うのは簡単だけど、意識しちゃうよね……」
自分の事じゃなのに、真剣に悩んでくれる友達は、人生の中で二人目。広く浅くの関係より、狭く深くの友人関係の中で信頼出来る人をあげろと言われたらきっと、彼女と望ちゃんの名前をあげるだろう。
優しいな……。
優しいから、余計に巻き込みたくない。
「大丈夫だよ。……もう、志麻せんぱいとは関わらないって、決めたから…」
「え、なんで？？好きなんじゃないの」
「ち、違うよ……、」
どうやら初めの方から誤解があったようで、小さな声で志麻せんぱいと出会った経緯を話していく。
「その、前に彼氏に振られちゃって、そこを志麻せんぱいが助けてくれて……、」
「そうだったんだ……。ごめん、勘違いしてた…！志麻先輩ってかっこいいし、誰もが一度は通る道っていうか、みんな恋するって言うから……」
「ううん…、わたしもちゃんと話せなくてごめんなさい……」
「いいよぉ。そんな辛いことわざわざ言わなくて！」
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