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……購買、まだ空いててよかった…。
朝いつもより遅く起きたせいで準備がバタバタしてた。9つ上のお姉ちゃんがお弁当を作ってくれたというのにそれを忘れてしまうなんて。
気がついたのは丁度お昼を食べようと鞄を開けた時。食堂は空いているもののタイミングが合わなければ購買に売っているパンは買えない所だった。ついでに自販機でお茶を買って手に抱えて教室に帰る途中、見覚えのあるシルエットが見えた。
……あれ？あそこにいるの志麻せんぱいだ。
一際目立つ志麻せんぱい。それはきっと周りに女の子が集まっているからだろう。この前一緒にいた三人の先輩たちと中庭でご飯を食べている最中だった所に、お弁当を持っていない女の子の先輩三人に話しかけたという光景が目の前に広がっていた。
「ね、どっかさ美味しいスイーツがある場所とか知らない？」
「え、なんでー？」
「ちょっと探してて」
聞くつもりはなかったが偶然耳に届いた声に思わず足が止まってしまう。志麻せんぱいが女の子の先輩に問いかけた質問にハッとした。
「あるある〜！なんなら今度一緒に行く？」
「パンケーキが美味しい店なら、駅前のがやっぱ定番じゃない？」
「新作クレープ屋も最近出来たって話だよぉ」
「暇な時一緒行こうよ〜志麻くーん」
軽いボディタッチに可愛い笑顔。志麻せんぱいだけを見た彼女たちに、背中しか見えない志麻せんぱい。他の三人は面白くないといったような顔をしながら淡々と自分のお弁当を食べているけれど、それが日常のようにも写った。
「……」
そりゃあそうだ…。
志麻せんぱいが人気じゃないわけない。
放課後一緒にスイーツパラダイスに行った時、志麻せんぱいは女の子の友達が居ないと言っていたけれど、あれは、わたしの気を使って言った嘘なのだろう。
あの日からずっと志麻せんぱいはわたしを気にかけてくれている。
志麻せんぱいは優しいから彼氏に振られたわたしを同情して一緒にいてくれてるだけなのだ。
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