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確か、今日はワークを集めて先生に提出しに行かなきゃ、なんだよね。
量が多いけど、二回に分けて持っていったら大丈夫そう…。
…あ、でも先生に早く持っていった方がいいか。
次の授業の準備をして机の上に並べる。東棟にある科学室へと移動しなければいけないが、ワークを先に届けなければ持てないだろう。そう思って準備をしていれば、前の席の友達が「あ、持っていくの手伝うよ！」と声をかけてくれた。
優しい笑顔。だけどそれ以上に冷たい刃物が向けられる教室で「ううん。大丈夫」と返せば友達は残念そうに「じゃあ、教科書とか持っていっとくよ」といってくれた。科学で使う教科書一式と筆箱を友達に預けてお礼をいう。
教室が寒くなりだしたのは、同じく二週間前からだった。その寒さから逃げるように30人分のワークを持って教室を出る。
原因は分かっている。
だから、目立つ行動は避けた。
所詮トップの人達がつけた順列は一生崩せはしないから。
積み上げたワークを落とさないように早足で職員室に向かうその途中、向かい側から見覚えのあるせんぱい達が見えた。
「あれ？Aちゃん…、それどうしたの？」
「あ、志麻せんぱい……」
ピタリと止まったその場には志麻せんぱいと、うらたぬきせんぱいそして名前の知らないせんぱいが二人いるが、多分志麻せんぱいのLINEでよく出てくる坂田せんぱいとセンラせんぱいだろう。
なんか……。
LINEでは話せてたけど、いざ本人を目の前にすると、何を話したらいいのか……。
分からない。目と目を見て話すのがすごい難しい。妙な恥ずかしさと緊張感があるせいか話が弾むことはなかった。そんな状況を赤い髪のせんぱいが打ち消してくれた。
「まーしぃ何止まってんのー…って、あれ？その子は？」
「こ、こんにちは…」
「重そうだね。それ職員室持っていくの？」
「え、あ、はい…」
元気というか、明るいというか……。居るだけでその場の空気を変えてくれるようなその人は、多分志麻せんぱいが『坂田』と呼ぶ人だと思う。
その人の会話に押されながらも、必死に受け答える。初めて志麻せんぱいと出会った時よりも自然に話せるのは、きっと志麻せんぱいとの会話や、LINEがあったからだろう。
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