close 5 - �� ページ22
.
あれからやり取りが続いてる……。
志麻せんぱいとLINEを交換して2週間。マメに返信をくれる志麻せんぱいとの会話が画面上で綴られている。初めはぎこちなかった会話も日を重ねる事に自然に返せるようになった気がする。
志麻せんぱいは甘いものが好きな他にも、いつも仲良くしている三人のことや部活の男子バレー部の事を話してくれた。
きっとあの日も体育館に行く途中でわたしを見つけてくれたのだろう。放課後は誰も寄り付かない食堂辺りで本来なら泣き崩れて、誰にも知られずに帰るだけだったはずがこんな展開になってしまうとは思っても見なかった。
本当にわたしで良かったのかな…。
役不足では無いかと思ってしまう。放課後遊びに行くのも久しぶりと言った感じだったし、訪れてみたスイーツ店もInstagramで有名になった所とかテレビで放送されていたような皆が知ってるような場所で、隠れ家なんて言う所は知らない。
はぁ…と自分のダメさを痛感しながら次の授業の準備を進めていれば、トンっと音を立ててひとつ影が落ちてきた。
「ごめん、花折さん。今日の日直変わってくれない？」
「え……、」
クラスの中にはカーストと言うものが存在する。それは大人が決めたとか世間が決めたとかいうようなわかりやすいものじゃなくて、30人集められた中でピラミッド型のように順位が付けられる。
その中でもトップと呼べるような彼女は校則ギリギリの茶髪でキラキラと派手なネイルをしている可愛い子。守りたくなるような女の子、そういえばわかりやすいのかもしれない。でも、どこか自分の中で線を引いて、そこより上なら媚びを売って下ならぞんざいに扱うようなタイプ。
彼女の目はきっと、わたしを見下している。
だからなるべく目をつけられないように「あ、うん。わかった…」と笑顔で返した。
「本当〜？良かった〜。花折さんって本当、優しくて頼りになるなー」
「……そんなこと、ないよ」
冷たい笑顔ほど怖いものは無い。
細められた瞳にわたしは映っていないから。彼女に映っているのは評価だけ。『使える人間か』『そうじゃない人間か』の二択でざっくり映ってるんだ。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
