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先にケーキを取り終えたわたしはお皿を席に置いてお水を取りに行く。
一応色んなのがあるけど、
志麻せんぱいもお水でいいかな…。
ふたつのコップにお水をいれて席に戻れば丁度志麻せんぱいもケーキを取り終えた所だった。
「え、持ってきてくれたの？ありがとう！」
「あ、いえ。さっきケーキを取ってもらったので。その、…お礼です」
「律儀だね」
じゃあ食べよっかと席に座って手を合わせる。「いただきます」と二人で言い合って、ケーキに手をつける。視界に入る志麻せんぱいのお皿の上。甘いものが好きと可愛いことを言っていたけれど、量は可愛いって量じゃなく、男子高校生だな……と感心してしまうくらい多かった。
「あ、どれか食べたいのあった……？」
「いえ…、その沢山食べるんですね」
「男子高校生はお腹が減るんですぅ」
「そ、そうなんですね……」
少し不貞腐れてケーキにフォークを刺す志麻せんぱい。その顔はちょっと子供っぽくて、ひとつ上とは思えない。
……男の人に思うのは失礼かもしれないけど。
なんか。かわいい……。
「それ、美味しい？」
「え、は、はい」
「あははっ、だよね」
「なんか、食べるもの似てるね」と笑いながら言う志麻せんぱい。量は違えど、それぞれお皿に取った物はほとんど一緒だった。
生クリームを使ったケーキ。
チョコレートがメインのケーキに、さっぱりとしたレモンケーキ。
たまに違うのがあって「今度はそれ、取りに行こうかな」なんて会話をする。
……彼とは、こういう事なかったな…。
中学生のころ一緒に登下校するのが精一杯で、制服のまま寄り道なんてする事は一度もなかった。増してや休みの日に会うことなんてなかったし、その時間を作れないのはわたしの方に問題があった。
もっと、こういう時間を作っていたらまだ続いていたのかな……。
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