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いつもあんな耳が張り裂けそうな声を聞いてるのか…。
なんか、難聴になりそう。
隣を歩いて、もし志麻せんぱいに迷惑がかかるような噂が流れても悪いからと少し離れたところを歩いていれば、おいで？と優しく手招きされる。
…確かに、これは女の子がキャーキャーいうのも分かるな……。
「道路側危ないし、こっち来な？」
「ぁ、はい。すみません、」
「……今のところは『ありがとう』って言って欲しかったんだけどな」
「え、あ、すみま、……。ありがとう、ございます」
「うん。どういたしまして」
無意識に謝罪が出てしまう。
そんな自分に情けないなと思いながら志麻せんぱいの隣を歩く。何か場を繋げなくてはと視線を泳がせるが、普段から聞いてばかりのわたしには難関だった。
ど、どうしよう…。
なにか、会話…。
「歩くの早くない？」
「あ、はい」
「そう。良かった」
……。
今の所は絶対「はい」じゃなかった…。
折角せんぱいが会話を切り出してくれたのに、二言で会話を終わらせてしまった…。
それでも志麻せんぱいは何処か楽しそうで上機嫌なような気がした。
そういえば、
チケットあげた時すごく嬉しそうだった。
キラキラした瞳で、八重歯が見えるくらいニコッと笑った感じは皆が言っているような『クールな人』とは少し違って見えたのだ。
「志麻せんぱいは、甘いものが好きなんですか……？」
「うん。すき〜。……引いた？」
「え？」
「男が甘いもの好きとかさ、ちょっと変って言われることあるから」
「ただ好きなだけなんだけどね…」と何処か悲しそうな顔をするせんぱいに「そんなことないです」と声をかけた。
同情じゃなく、本心で。嫌いより、好きと言われた方がなんでも嬉しいものだ。それに甘いものは女の子だけが食べていい物なんかじゃない。誰でも好きに食べていいものなんだから。
なんて、……そんな事は言う勇気がないけど…。
「……ありがとう」
「え、」
「あ、そろそろ着くよ。何気初めてなんだよね〜」
何から食べよう。なんて明るく言う志麻せんぱいの後をついて行く。
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