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「志麻先輩って、あの！？」
朝学校についてすぐのこと。席が近くて仲良くなった女の子の友達に志麻せんぱいが何組か知っているか問いかければこの反応が返ってきた。
「志麻せんぱいって、有名なの…？」
「そりゃそうでしょー！この学園の王子様的ポジションで、ファンクラブまであるって言われてる、あの志麻先輩だよ！？何！？好きになっちゃったの！？」
恋の話や異性に纏わる話になると途端にスイッチが入ってしまう友達は朝からグイグイとテンションをあげていた。
「ううん。昨日怪我の手当してもらったからお礼を渡したくて…」
「どういう事！？」
「あ、えっと…、転んだ時にたまたま志麻せんぱい…？が助けてくれて、それで、」
我ながら話の順序がぐちゃぐちゃだ。そう感じながらも、それを聞いた友達は「なるほどねー」と納得してくれた。
そらる先生の事をかっこいいと言っていたのも彼女で、「先生じゃなかったら普通に恋してるかもしれない〜！」なんて妄想話に笑ってたりした。
境界線がないっていうか…。
誰にでも優しくて、素敵だな……。
「確か、志麻先輩は2年C組、だったかな？」
「ありがとう、お昼休みに行ってみる」
「一人で大丈夫？」
「う、うん。ちゃんと、お礼言いたいから」
一緒に言ったら何も言えなくなっちゃいそうだし…。
それは、志麻せんぱいにも失礼だ。
そうして勇気を出して二年の教室に向かった後、微妙な顔つきでわたしはクラスに戻っていたのだ。理由は簡単。昨日あったばかりの志麻せんぱい(それも学園の王子様的存在)と一緒にスイパラに行くことになってしまったから。
「どうだったの！？志麻先輩にお礼言えた？？」
「あ、…うーんと、…、なんか、スイパラに一緒に行くことに…」
「は！！！！！？」
彼女の大きな声がクラス中に響いて注目を浴びる。そんな複数の目に耐えられなくなったわたしは、さっと友達の影に隠れた。
自分でも分かってる。
こんな急展開になるなんて思ってなかったよ…。
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