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「大丈夫？って、え、どうしたの！？泣くほど痛かった？」
パッチリ目が合う。
メガネのレンズ越しに見える紫色の綺麗な瞳と少し目にかかる前髪。右目の近くの泣きぼくろが印象的で、心配する声はすごく優しかった。
「う、ぁ、ごめ、な、」
「手。血が出てる…。歩ける？保健室まで近いし運べるけど」
そんな……。
初めて会った方の手を煩わせる訳にはいかない…。
「保健室は、だ、いじょうぶです」
「だめだよ。怪我してるんだから、菌とか入っちゃうでしょ」
フルフルと横に頭を振って拒否したが、した後になって、断るのも申し訳ないんじゃ…、と思ってきてしまった。こういう後向きな所が彼に嫌われてしまったのかもしれない。
そう思うとまたポロポロと涙が零れてしまう。
「すみませ、」
泣きたい訳じゃないのに、心に締まっている感情が言葉に出来なくて、目に見える形で吐き出してしまった。
心臓が締め付けられているような感覚。
苦しくて、痛くて、目の奥も喉元も圧迫されているような感じだ。
「気持ちの整理着くまでしばらくここに居よっか」
早く涙を止めなくちゃと思っていると、目の前の彼がわたしと同じようにしゃがんで目線を合わせて話しかけた。「まだ校舎の中人残ってるし」と賑やかな校内の方をみて話す彼は迷惑と言うよりも優しい笑顔で、少しだけ自分から甘えてみた。
「あの、……すみません。もう、大丈夫です。ごめんなさい」
溢れ出す涙を引っ込めて、早めに声をかける。よろめく身体を起こしながら、顔を見られないように俯きながらお礼を言う。
「ありがとうございました。…では」
「ちょっと待って…！その足じゃ保健室行くのもやっとでしょ？」
「そ、うですけど」
でもこれ以上迷惑をかけちゃったら、だめ。
優しさに甘やかされた空間に居るのはどうも落ち着かないから。
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