◆Jack ページ49
【檻の外し方】
［ ジャック × 暴食姫 ］
※付き合ってる設定
「……ジャック」
ジャックの前で手を広げたAは少し不満そうな顔をしていた。それもそのはず、付き合ってからと言うもの以前と特に関係は変わらず、ただ隣で歩くだけを繰り返していたのだ。
「なんすか？」
「……歩くの疲れた」
「はあ？」
「……早くおぶって」
彼氏以前に護衛役であるジャックは仕方ないとため息をつきながら、Aを片腕だけで持ち上げる。軽い。普段あんだけ食べているというのにその栄養素はどこに行っているのだろうか。きっと彼女は太りにくい体質で、他の人から言わせてみれば羨ましがられることなのかもしれないが、変に心配されるのもまたストレスなのだ。
結局はないものねだり。人のものほど良く見えてしまうだけの人生で、自分の魅力には気づきにくい。
「……ぉぉ、…たかい」
担がれたことによってジャックよりも今は身長が高い。2mを越える身長に少しワクワクしてしまうAはキョロキョロと辺りを見渡した。高さが変わるだけで景色が変わる。数メートル先まで見えそうだ。
「あんま動かないでください」
「……ん、ごめん」
本来の目的を忘れてしまっていたAはジャックの注意により取り戻した。歩を進めるジャックに顔を近づけて、初めてとなるキスをする。
「あ、あんた、何して……！」
「……ジャックがしてくれない、から？」
自分から動くしかないとは思っていたが、この身長差ではジャックの顔さえも届かない。かといってしゃがんで貰うのも甘やかされているようで嫌だった。
だから必死に考えた作だ。これなら身長を気にせずキスが出来る。そう思ってした行為は火に油を注いだだけのようで、何も言わずにジャックは人気の少ない場所まできた。
「あんたからしたんだから覚悟出来てるよな」
「！！」
今まで保っていたという理性の檻を開けたお姫様はオオカミさんに食べられちゃったんだって。
────────…
どうしてそんなに身長が高いの？
どうしてそんなに顔がいいの？
どうしてそんなに良い声してるの？
どうしてそんなに良い子なの？
あなたを好きにさせようって魂胆なのね。
ふん！その作戦大正解よ！(すき)
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