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「あ!…そ、そうだ!プレゼント!ルスに、プレゼントがあるの……!」
多少強引だが、その距離を離してルスに背を向ける。頭を冷やすように早足で厨房へと向えば、銀色の大きな冷蔵庫の前でしゃがみこむ。
「…絶対あれ、キスする流れだったよなぁーっ、」
自分から拒否しといてなんだが、したかったという気持ちは勿論あった。が、心の中で羞恥心の方が勝ってしまい、今になって面倒な状況になっている。
「ぅぅぅぅ、」
冷蔵庫に頭をグリグリ押し付けながら気持ちが入れ替わるのを待つ。
……、…………プレゼント渡そう、。
厨房を借りて余った食材を使ってもいいとの事で家では作れないようなケーキを作ったわけなのだが、喜んでくれるだろうか。
「ん。ちゃんと冷えてるし、おいしそう」
自分に自信をつけるように呟いて冷蔵庫からチョコレートケーキを取り出す。
「ルス、目瞑っててね」
「はーい」
大きめの声でホールの方に呼びかければ直ぐに反応が帰ってくる。さっきの独り言は聞こえてないようで安心した。一人分用の小さめのケーキを皿に盛り付けて、フォークを添えてルスの前に置く。
「もういいよ」
「ん。……え、なにこれ。美味しそう!」
「お誕生日おめでとう、ルス」
「ありがとう。え、めっちゃ嬉しい」
大したものじゃないけど、どうぞ。なんて言えば勘のいいルスがこれ作ったの?なんて聴いてくる。ホントはお店の買うつもりだったんだけど、店長が、せっかくなら作ってあげなよ。なんていうから、そのまま流されてしまった。
「A、あーん」
「え、あ、味見なら沢山したよ?」
心配しなくても美味しく出来たと思うんですけど……。なんて不安がっていれば、ニコニコ微笑みながらカッコイイ一言が私を襲う。
「好きな子に食べさせてあげるのすごく好きなんだよね。ほら、」
「…、ずるい」
そんなこと言われたら口を開くしかないじゃん。素直に口を開いて、一口食べる。味見の時よりも美味しく感じるのは冷やしたからで、ルスが居るからなんかじゃない。
「食べさせてくんないの?」
「……一人で食べれるくせに」
「んー。今日だけは一人じゃ食べれないなー」
確信犯の彼にため息をついて私が口付けたフォークのままルスに差し出す。
ね、また、来年も。
内気な彼女ちゃんのちょっとしたわがままはluzさんには伝えない。
だってきっと二人とも同じ思いだから。
▼《コラボ企画》ピンクグレージュ / nqrse→←@7/23 ルスに恋する彼女
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こんぺいとう。(プロフ) - ☆Mercury☆さん» ありがとうございます!私、ついに師匠になったのですね!!分かりました!頑張ります!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: 5845111e18 (このIDを非表示/違反報告)
☆Mercury☆(プロフ) - ふえー!!めっちゃ楽しみにしてました!!新しい彼女ちゃんたちが....!!一生ついていきます。師匠!! (2020年2月29日 13時) (レス) id: a1aa4e6d76 (このIDを非表示/違反報告)
海 - 初コメ失礼いたします、ずっと前からこの小説を読ませていただいて本当に感動しています!語彙が豊富だし、こんぺいとう。の名前の通りいろんな色のお話楽しみにみています。夢への努力と小説更新大変かもしれませんがずっと待ってます!! (2019年10月26日 20時) (レス) id: b53af4e032 (このIDを非表示/違反報告)
Mercury(プロフ) - よ、よかったぁ〜!ライブの小説が丁度あがっていたからもしかしたら...。と思いまして( ;∀;)ごめんなさい。福岡でしたか!私は北海道でした!弟さんも良かったですね!! (2019年9月25日 20時) (レス) id: a1aa4e6d76 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう。(プロフ) - Mercuryさん» あ!いえ!全然大丈夫ですよ!福岡に参戦してました^^* とても楽しめましたよ◎末っ子くんもますますファンになっていました^^* (2019年9月25日 19時) (レス) id: 5845111e18 (このIDを非表示/違反報告)
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