▽@紅ノ華 【番外編】 ※刀剣パロ ページ14
〈 Mercury様 から リクエスト 〉
……つい、刀に頼りすぎたんだと思う。モノとして見れなくなったそれを酷く信じすぎたのだと思う。
「っ、A!」
「…大将……?変な顔、してますよ」
冷たい手が俺に触れる。体のあちこちを怪我しているというのにそれでも笑顔を作る彼女を抱き寄せて、押し殺せない涙を零す。
「ごめ、……俺、…」
「?……なんで、大将が謝るんですか。怪我したのはわたしの不注意ですよ、」
もう少し、お力になれると思っていたのにな…。ねぇ、大将。……少し、眠たくなってきました。
徐々にゆっくりと時を刻む彼女の姿が透け始める。嫌だっ、この刀は、爺さんよりも前の頃から大切に護られていた刀なのに…っ。俺の代で終わっていい程の代物じゃないのに。
少し眠りについた彼女は重症を負ったまま刃が欠けた刀の姿へと戻った。
「お兄さーん。感動のシーンはもう終わりましたー?」
「それなら早く、決着をつけちゃおうよー」
ゴミみたいな声が広がる深夜。月も雲に隠れてしまったこの時間は朝になるまでまだ時間がかかる。
「ちっ、……早く家に帰りたいっていうのに」
「あ?何ー?もっと大きな声で話しなよ」
「ほら、最期の言葉に相応しい泣き言言ってみなよ」
調子に乗った奴らに背を向けて、彼女をもう一度抱きしめる。
「……大丈夫。すぐ、帰れんで」
胸に忍ばせた短刀を握りしめ、奴らに見えぬよう影に隠す。ゆっくり。ゆっくりと無表情で前に歩き出す。
「っ、なんだコイツ。はっ、死ぬ覚悟が出来たってことかよ」
「もう刀は使えないもんねぇ?潔くて無様だよ、お兄さん」
振りかぶったと同時に姿勢を低くして真っ先に走り出す。動揺したのか体制がふらつく奴の心臓を確実に狙ってすぐに引き抜けば勢いよく血液が吹き出す。…あと、もう一人。
「っ、そんな短刀でオレに勝とうっていうの?」
「……」
「おいっ、それ以上近づくな…っ」
「知らない?滅多刺しよりも一撃必殺の方が憎しみが強いって」
じわじわ苦しめながら殺すなんて言い方も出来るけど、残り時間の選択肢も一瞬で奪うコレはその一撃に沢山の恨みを込める。
「心配しないでよ。…ちゃんと狙ってやるからよォ」
返り血で汚れたまま、彼女を抱えて早足で家へと戻る。
「まだ、俺に力を頂戴よ、A」
「闘ったらお腹空いた…。大将ー、美味しいご飯」
あの後、手入れして元気に戻りました。
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こんぺいとう。(プロフ) - ☆Mercury☆さん» ありがとうございます!私、ついに師匠になったのですね!!分かりました!頑張ります!! (2020年2月29日 22時) (レス) id: 5845111e18 (このIDを非表示/違反報告)
☆Mercury☆(プロフ) - ふえー!!めっちゃ楽しみにしてました!!新しい彼女ちゃんたちが....!!一生ついていきます。師匠!! (2020年2月29日 13時) (レス) id: a1aa4e6d76 (このIDを非表示/違反報告)
海 - 初コメ失礼いたします、ずっと前からこの小説を読ませていただいて本当に感動しています!語彙が豊富だし、こんぺいとう。の名前の通りいろんな色のお話楽しみにみています。夢への努力と小説更新大変かもしれませんがずっと待ってます!! (2019年10月26日 20時) (レス) id: b53af4e032 (このIDを非表示/違反報告)
Mercury(プロフ) - よ、よかったぁ〜!ライブの小説が丁度あがっていたからもしかしたら...。と思いまして( ;∀;)ごめんなさい。福岡でしたか!私は北海道でした!弟さんも良かったですね!! (2019年9月25日 20時) (レス) id: a1aa4e6d76 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう。(プロフ) - Mercuryさん» あ!いえ!全然大丈夫ですよ!福岡に参戦してました^^* とても楽しめましたよ◎末っ子くんもますますファンになっていました^^* (2019年9月25日 19時) (レス) id: 5845111e18 (このIDを非表示/違反報告)
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