【歌い手】うらたんに恋する彼女【うらたぬき】

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「可哀想！！勝ち目のないアタシ、可哀想！！！」
「お前の中で、まーしぃはどうでもいいのな、」


いや、そういう訳じゃなかったけど。
初対面の挨拶の時凄かったんだもん。


♧ ♣ ♧

「あれ、Aちゃん？」


うらたんのいない間に起きたこと。
志麻さんの声が聞こえて顔を上げれば、志麻さんの隣に綺麗なお姉さんが立っていた。

金髪ショートで背が高く、誰だどう見ても美人だと思える顔に上品なオーラ。以前志麻さんが言っていたタイプの女性にぴったりの彼女はふわりと微笑む。


ぎゃーっ！！何この人！！
すっごい美人！凄い美人！
しかもお金持ってそう！！
何この人、よく捕まえたな、志麻さん！！


「この子がさっき言ってたうらたさんの？」


なんて言ってたんだろう、志麻さん。

でも彼女は笑っているから、悪いことは言われてないのかな……？


「え、えっと…」
「聞いていたより可愛らしい子ね」
「かわいい……！？」


超絶綺麗なお姉さんにお世辞でも可愛いと言われたら嬉しいもので、自然と顔が緩む。

少しキツイ顔つきだったから、よくいる性格悪めの悪女だと思ってたけど、なんだ！いい人そうじゃん！！

そうだよね！志麻さんが選んだ人だもん！
そんな悪い人なわけが無い！！


見れば見るほど好感度の上がっていく彼女さんはスペックが色々と高そうで、一言で言うなら高嶺の花だ。


「私、うらたさんのファンでね。ふふっ、会えて嬉しいわ」


別に自分が褒められている訳でもないのに、マジックにでもかかったかのように、嬉しくなる。

『こたぬき』さんに悪い人は居ないよ！
居たとしたら、それは野生のタヌキだ！

興奮状態で自分でも何を考えているか理解出来ないが、とりあえず、盛大に頷く。


そうですよね！アタシも会えて嬉しいです！
うらたん良いですよね！！アタシの彼氏なんです！！


全て口にはしないが、とりあえず盛大に頷く。


「だから、意地悪してもいいかしら」
「………………はぇ？」


頷いていた首を止めて、馬鹿みたいな声が零れる。

ニコニコと綺麗に微笑むお姉さんを見て聞き間違いかとも思ったが、隣に立つ志麻さんがやっちゃったー…。みたいな顔してる。

なんか明らかに、やらかしちゃった感を出して頭を抱えているんですけどっ。

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