感情ころころ2 ページ44
治は私に気を遣って、
外に出してくれた。
偶然あった小さな公園のブランコの柵に腰掛ける。
「…さっき、怒っとった?」
「…別に」
情けなくて、顔も見れない。
治はこういう時、黙ってくれている。
気の利く人だ。
「…なんか、かんにんな。
台無しやなぁ、さっきので」
『治の事好きなの?』
倫の質問が頭の中をぐるぐる回る。
「…さっき」
「………おん」
「腹がたった……心臓がきゅってなった」
イライラして、ムカムカして。
『は、ムカつくんだよ』
……ムカついた。
誰かに取られるんじゃないかと思った。
…………怖かった。
私、あんた騙すの辞める
何も知らない治を騙すのをやめたい
痛かった、昔負った傷が抉りでてくるような。
もう同じことは繰り返したくない。
…けど、分からない。
『どうなの?好きなの?』
「………………好き」
「…は……?
倫の問いかけの、答えはこれであってるのかな。
「えっあ、えっと、すき焼き食べたくない?」
分からない。何もかも、分からないの。
「そうやなぁ、どっかあるか?」
『僕が君のこと、まだ好きなんて思ってるの?
ばっかじゃないの??都合のいい頭だね?
あぁーあ、なんで君なんか好きになったんだろう
やってらんな』
『ごめん…あんな酷いこと言ってごめん、全部嘘だよ
あんな事思ってない』
『ごめんね…それも嘘』
「…ごめん、っなさい」
治は私をただ、驚く目で見つめていた。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:レモンさん | 作成日時:2021年1月6日 17時