愛に飢える[稲荷崎](元片道切符) (ページ38)

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服装審査官ページ38

私達は冷めて、
そして覚めていた。

午前10:00。朝食はとうに済ませ、
お気に入りの洋服を着る。

秋らしい色合い、服は靴鞄含めて三色以内。
化粧水をぱたぱた馴染ませ、メイクに入る。

すると、リビングに居た倫が部屋に入ってきた。
「倫、着替え見ないようにリビング行ったの？」

「じゃあそういうことにしといて」
「つれないな、恥ずかしがらずうんって言えばいい」

ノーファンデメイクだから、時短時短。
最後にリップをつけて完成。

「できた」
勉強机の方を見ると、倫はこっちをまじまじ見る。

「…今日はコンタクトなの？」
「仕方ないでしょ、眼鏡かけるとブスって煩いの」

なんだか不満そうな倫を見て私は笑った。
「ぶふっ……ほら見なさい、今日の感想は？」

ひらひら揺れるベージュのワッシャーロング
スカートに、クリーム色のタートルネック。

上着ってほど寒くないからカーディガンでいいかな。
「スカートとかいつも履かないじゃん…

何色目使ってんの、脱げ」
「は、蹴るよこの変態」

なんていつもの日常を繰り返す。
「…可愛いよ、珍しく」

「だから、珍しくはいらないから」
昨日の今日と言えど、なんか変わらない態度だった。