接点とは ページ16
顔が沸騰するのが分かる。
私は彼を突き飛ばし、起き上がった。
視界がぼやけて見えないけど、
「…どういうつもり」
「堪忍な、つい」
「倫にも頑なに断ってたのに…！」
「あれ、今日が初めて？わぁ、めでたいなぁ」
「は！？いやそうだけど！？ぜんっぜん！？」
「いつもの妖艶な瀬良さんどこ行ったん語彙、語彙」
…待て、さっき全部知ってるって。
「…君は何を知ってるの」
っていうか、治の方は大人しいと思ってたのに。
ぜんっっっぜん違うじゃんあのファン。許さない。
手探りで探ってやっと見つけた眼鏡をかけると、
そこには綺麗な顔があった。
……目が腫れてる、泣いたのかな。
「…五限、君もサボり？」
「せや、それと……侑と角名と彼女の事や」
眼鏡をかけると、彼は不服そうだった。
「自分、メガネ外したほうがモテるで」
「そんなの知ってるわ阿保」
「うわ、性格悪…まあそれも知ってんねんけど」
私は思わず凝視した。
なんで、本当にどこまで知ってる？
少し黙っていると、治の方は話し出した。
「……あんた、角名に言ったやろ
…私に恋してええよって。
それ、他の男にも言ってるん？」
…私どんなビッチだと思われてんの。
「なわけないでしょ、どこのビッチよそれ」
彼は私じゃなく、窓の外を眺めていた。
「…頼み事あんねんけど」
私は多分、今年これ以上驚くことはないと思う。
「俺を騙してくれ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レモンさん | 作成日時：2021年1月6日 17時
