失恋したので髪を切ります。【黒尾鉄朗】

long hair *9 ページ9

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雲一つない青空が広がっていて、昨日の出来事なんて
夢だったんじゃないかと疑ってしまうけれど、

やっぱり鞄の中にはクロに貸して貰った
ふかふかのタオルが収まっていて

夢じゃなかったんだと、私に思い知らせている。


昨日のうちに今日渡そうと決めていたはずなのに、いつ渡すかなんて全然頭になくて

今はほんの数メートル先の席にいるその背中を眺めるだけで精一杯なのだ。

朝は会えなかったし、教室に着いても賑やかな輪の中心にいる貴方を呼ぶなんて、一昨日の自分に入れ替わって貰わなければ出来そうもない。

一日の間に何が変わったのだと自分を責めたくもなる。


きっと自分でも分かってるんだ。
この気持ちは一日で成り上がったものなんかじゃない。

ずっと流れてくるこの感情に蓋をしてきたツケが、
今になって回ってきたのだ。


黒板の方を向いている貴方は今どんな表情をしているんだろう。

気難しい言葉の羅列に顔をしかめているのだろうか、
傍また眠そうな顔であくびをしているのかも。



人の気も知らないで。

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