long hair *6 ページ6
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駅の改札口で溜息をつく。
手元には折り畳み傘が1つ
外は大雨だ。
駅までは親切な同級生に傘に入れてもらったが、
電車から出ても雨がおさまる様子はない。
放課後、昼までの天気が嘘だったように土砂降りの雨が降った。
そこまでは良かった。
「私、傘持ってきてない…どうしよう…」
他の誰でもない、ももがそう呟いたのだ。
「これ、持っていきな。私折り畳み傘持ってるし、夕方からおさまってくらしいから。」
半ば強引に自分の傘を押し付けて部活に向かったのはいいものの
問題は折り畳み傘にある。
この風で折り畳み傘が壊れるイメージばかりが頭をよぎる。駄目だ。
この傘はクロから貰った物だ。
一昨年の誕生日にクロがくれたもの
私の好きなスカイブルーにひっそりと金色の小さな星が縫われたこの傘は私のお気に入りの雑貨屋さんのラッピングが施されていた。
女性ばかりのお店でクロが私にプレゼントするもの探してくれたのだと思うと愛しくてたまらなかった。
意を決して外へと踏み出す
天気予報は嘘つきで、雨はしっかり地面に降りつけている。
私は折り畳み傘を鞄にしまって、
で家までの道のりを走る。
けれどやっぱりきつくなってシャッターが閉まったパン屋さんの前で少し休ませてもらうことにした。
けれど、パン屋さんの前で私が息が止まりそうになる。
チャームポイントのトサカを失った男がそこに座っていた。
「おう、酷い有様だな。」
好きな人に貰った傘を壊すのは勿論嫌だけれど
好きな人に大雨に降られた自分を見られるのとどっちがましだろう…
「ちゃんと自分のことも考えてから人の世話を焼こうな？」
そう言って新しいタオルを私に差し出した。
この男も妙に鋭いことを思い出さられる。
貴方はどこまで分かってるんだろう。
タオルで髪を包むと、
クロの柔軟剤の香りがして
さらに恥ずかしくなる気持ちと
何かいわなきゃと言う焦りが混じって
「…クロが柄にもなく朝、私の心配なんかしたから。雨が降ったんだよ。」
なんて八つ当たりのような言葉しか並べられなかったのに
「そうかもな。」
なんて、そんなふうに優しく笑わないで
ずっと抑えていた感情が溢れそうになるから。
無垢な気持ちで貴方の顔を見ることができなくなってしまうから。
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仁(プロフ) - 大好き。マジありがとうございました！！！！！ (10月14日 18時) (
レス) @page50 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - クロさんじゃなく夢主さんはうちと結婚しましょう（（）） (7月30日 12時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - 尊い…好き…ナニコレ、最高でしかない…！！！キュンキュンが止まりません、マッハです！！神作ありがとうございました！！！ (2022年7月14日 16時) (レス) @page50 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
LUCA(プロフ) - とても素敵な話でした。後半から感情移入してしまって、泣いちゃいました！ありがとうございました！！ (2022年6月26日 17時) (レス) @page50 id: 26acec27f5 (このIDを非表示/違反報告)
たま - 普通に泣きました！！ (2022年5月12日 15時) (レス) @page50 id: 3f769884b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：金平糖 | 作成日時：2018年8月14日 22時
