short hair *42 ページ42
教室の熱気も窓から吹き込んだ風が追い出してしまった。
今はもう残っている人も大分少ない。
寒さのせいかちょっとしんみりしてしまう。
ピコピコと鳴るスマホを開くと、
ももからのLINEがパッと目に入る。
“ごめんね〜( ; ; )顧問の先生が見つからなくて、ちょっと時間かかりそう。今まだ教室いる？”
卒業式終わりにももと遅めのランチを食べに行く予定だった私は未だ、教室に一人いた。
"全然いいよ。気にしないで
ちょっとクラスの子と喋りすぎて
喉渇いちゃったから、自販機行くけど
またすぐに教室戻るから。"
入れ違いにならないように返信した後、
立ちあがって自販機のところまでゆっくりと階段を降りていく。
今日の天気は卒業式にふさわしい快晴とはいえ、三月の東京はまだ寒い。
赤い自販機のボタンを迷わず押して出てきたミルクティーを両手で丁寧に持って手を温める。
私は暖かい飲み物は寒い場所で飲むのが1番美味しいことを知っているので、
その場でキャップを開けて一口飲む。
「やっぱりおいしいなぁ」
なんて思わず出た私の小さな声は誰にもきかれることもなく消えていくはずだった。
「おまえ本当甘いの好きだよなぁ。味覚が子供なんじゃねぇの？」
なんて貴方の声が聞こえるまでは
まだ学校に居たんだなんて少し驚いて、
振り向きそうになったけれど
そんな最後まで意地悪を言う人に振り向いてあげるほど私は優しくない。
「サンマの塩焼きが好物なんて、おっさんくさいんじゃない？」
貴方に背を向けたままで言い返す。
「おっさんジャナイデスー
味覚が大人の男性ナンデスー。」
言い返す君の顔をみたくなってしまった私の負けだ。勢いよく反論する貴方の顔おもしろいんだもん。
「別にいいでしょ、最後に好きな味を飲んどかなきゃって思ったの。粉末で自分で作るやつの方が好きだからさ、多分しばらく飲まないし。」
ちゃんと顔をみて返してあげる。
「クロは？なんかやり残したことないの？
最後だから私がなんか奢ってあげようか？」
貴方は絶対、うんと言わないだろうと分かっていながらも冗談混じりでいった台詞に
貴方の顔が急に真面目になった。
何か余計なこと言ってしまっただろうか、
どきりとして自分の言葉を頭のなかで反芻させる。
「…やり残したこと…ある。」
なんだやり残したことを考えていたのか
ふっと緊張が溶けて安心してしまう。
貴方を本気にさせることなんて限られている。
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仁(プロフ) - 大好き。マジありがとうございました！！！！！ (10月14日 18時) (
レス) @page50 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - クロさんじゃなく夢主さんはうちと結婚しましょう（（）） (7月30日 12時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - 尊い…好き…ナニコレ、最高でしかない…！！！キュンキュンが止まりません、マッハです！！神作ありがとうございました！！！ (2022年7月14日 16時) (レス) @page50 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
LUCA(プロフ) - とても素敵な話でした。後半から感情移入してしまって、泣いちゃいました！ありがとうございました！！ (2022年6月26日 17時) (レス) @page50 id: 26acec27f5 (このIDを非表示/違反報告)
たま - 普通に泣きました！！ (2022年5月12日 15時) (レス) @page50 id: 3f769884b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：金平糖 | 作成日時：2018年8月14日 22時
