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short hair *37 ページ37

朝、教室に入ると

貴方が私を横切って

私は反射的に


「おはよう」

と口にした。けれど

私の声が届かなかったのか

クロはそのまま教室を出ようとしていた。


普段なら絶対にそのまま大人しく自分の席につくだろうし

そうするつもりでいたのに

どういうことか私はいつの間にか

クロの腕を掴んでいた。


私はどうして身体が動いてしまったのだろうと

驚く事に思考が傾いて声も出せずにいる。

こんな時いつもなら


「ん?どうかしたか?」


と私の好きな貴方の声が先に出てくるはずなのに

その声がいつまでも聞こえないことに違和感を感じて、

思わず貴方の顔を覗き込むと

その瞬間に私の腕は振りほどかれていた。


一瞬だけみえたクロの顔は見たことないほど冷たくて


「怒ってるの?」


声が震えることを精一杯隠しながら発した

私の言葉はまるで

言ってはいけない魔法の呪文だったみたいに

騒がしい教室が一瞬で凍りついていることを感じた。


泣いてはいけない。

そう頭で理解しているのに身勝手にも

既に目から涙が流れていることに気づいた。

けれどもう一度貴方の顔をみたら

全部嘘だと言ってくれる気がして、

もう一度貴方の顔を見上げる。


その瞬間急に耳が聞こえなくなったようで

クロが私に何か冷たく言い放っていることは分かるのに

何と言っているのかは全く聞こえなくなった。

何て言っているのだろう。

そう思った瞬間、

私は何故か分かってしまった。


クロは”逃げた癖に”って私に言っているんだ。


身体が暑くて、涙が流れて

でもクロに嫌われたくなくて

何か口にしなきゃと思うのに


急に声が出なくなった。

いくら口を動かしても声が出ない。

このままじゃクロが遠くに行ってしまうと

焦った私は出ない声を必死で振り上げようとした。



目が覚めた。

身体が暑くて、頭が痛くて、

顔が涙で濡れていることが分かる。

目に溜まった涙で周りの景色がよく見えない。


「ごめんなさい…」


そう呟いた私の声は

確かに私の部屋に響いていた。

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設定タグ:ハイキュー , HQ , 黒尾鉄朗   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - 大好き。マジありがとうございました!!!!! (10月14日 18時) (レス) @page50 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - クロさんじゃなく夢主さんはうちと結婚しましょう(()) (7月30日 12時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - 尊い…好き…ナニコレ、最高でしかない…!!!キュンキュンが止まりません、マッハです!!神作ありがとうございました!!! (2022年7月14日 16時) (レス) @page50 id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
LUCA(プロフ) - とても素敵な話でした。後半から感情移入してしまって、泣いちゃいました!ありがとうございました!! (2022年6月26日 17時) (レス) @page50 id: 26acec27f5 (このIDを非表示/違反報告)
たま - 普通に泣きました!! (2022年5月12日 15時) (レス) @page50 id: 3f769884b2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:金平糖 | 作成日時:2018年8月14日 22時

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