君の記憶が無くなったあげく俺は女化したので君を好きでいるの止めたいと思います【さかうら】

5.記憶を取り戻してみた ページ18

うらたside



まーしぃと付き合った日から、一年が経った。

今日は、付き合って、一年記念日。

だから、まーしぃの家でケーキを食べている。

まーしぃ曰く、お値段はお高いらしい。



「高いんでしょ....？良いの？」

「ええよええよ！大切な記念日やし」



そう言って、まーしぃはにかっと笑う。

その笑顔が素敵で、少しドキッとした。



「さぁ、食べよ？」

「あ、今の上目使い可愛い」

「なっ......」



自分でも顔が赤いのが分かるくらい、顔に熱が集まっている。



「もう、本当まーしぃ、そういうのずるい.......」



あ、れ？

この感覚、この感じ。



何か、前にもあったような。

まーしぃと付き合う前に、一度、いや、何度もこの“可愛い”という言葉を誰かから言われて、こうやって顔を赤くしていた気がする。



誰から？誰から言われた？

覚えて.......ない。

もしかして、



坂田？

いやいや。んな訳。

だって彼奴は、大切な友達で、仲間。

そんな事がある訳ない。

でも........



「うらたさん？」

「なぁ、まーしぃ」

「ん？何や？」

「俺ってさ.....



坂田の事忘れる前、どんなんだった？」









志麻side



「俺ってさ.....坂田の事忘れる前、どんなんだった？



うらたさんが、唐突に聞いてきた。



「どうしたん？突然」

「いや....俺って前もこんなんだったのかなぁって思って」



やばい。どうしよう。

嫌な予感がする。

まさか.........。



「坂田の事、思い出したん？」

「いや、思い出した訳じゃない.....けど。何か知りたくなった」

「それは、思い出したいって事？」

「うん....まぁ、そうかな？」

「そっか.......」



なら、仕方ないね。

もう、俺は分かっていたんだ。

分かっていたというか.....焦っていた。

うらたさんの記憶が戻ってきた事に。

まだ完全には戻ってないけどね。



もう俺の心も、悪役でいるのは疲れたって、訴えているんだ。

だから、俺がただ一つ、うらたさんにしてあげられる事。

それを今からするよ。



「うらたさん」

「何？」

「記憶、取り戻しに行こっか」

「え....？......_______」

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