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3. ページ13

コツコツと、俺の足音が廊下に響く。

今日はやけに静かな日だな。

庭までは、然程遠くない筈....なのに。

何故か長く感じる。

.....嫌な、感じ。



そんなこんなで、庭に着いた。
微かにチューリップの香りがする。

....チューリップって春の花じゃなかったっけ。

まあそんな事どうでもいいか。

うらさん....何処に居るんだろうか。



「あ....あんな所に....」



うらさんがベンチに腰掛けているのが見える。

あれ。

誰かと一緒に居る様だ。

あれは誰だ?

此処からだと良く見えない。



「.......!あれ...まーしぃ!?」



まーしぃとうらさんが一緒に居る。

何をしているんだ...?

すると、次の瞬間、



チュッ



というリップ音と共に、二人の影か重なった。



え。



え?



今のって.....まさか。



今、まーしぃとうらさんが....キス.......。



はは。笑っちゃうな。

乾いた笑みが零れる。

何でこんなにも恵まれないんだろ。

不思議と体が此処から動かない。

こんなの見たくないのに.....。

まーしぃとうらさんの顔が近づいていく。

止めて、見たくない!

体が、動か、ない。

何で、動いてよ。

動け!



その時、ぐいっと腕が引っ張られた。




「....こっち、さかたん」

「.....え.........」



フードを被っていて良く見えないけれど、多分この人は......。



「ふう。離れたよね。大丈夫?」

「まふ....だよね?」

「そうだよ」



やっぱり。

この綺麗なソプラノの声はまふくんだ。



「.....さかたん」

「何?」

「何で、笑ってるの」

「え?何でって....」

「見たでしょ?あの二人」

「.........」

「悲しいんでしょ?」

「...っそんな事」

「嘘つき。好きな人が他の人とキスしてて悲しく無い訳ない」

「....それは、そうだけど.......」

「何時までいい子演じてるつもり?悲しいなら早く認めて、自分の気持ちが済むまで泣け!」

「......っ、うわぁぁああん!...何で、何でっ.....!うらさっ、まー...しぃ.....っ、!」



心のダムが決壊した。

俺は、まふの優しさにすがるように泣いた。

そんな俺らを、黄色と青と、黄色いチューリップだけが見守っていた。

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メイリー - もう……えっと……ありがとうございます…!!語彙力に大ダメージがいくほど、すっごく素敵なお話でした!! (2019年12月28日 22時) (レス) id: 5870958d28 (このIDを非表示/違反報告)
瀬菜(せな)@こたぬき(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます!短いお話でしたが、そう言ってもらえて嬉しいです! (2019年2月4日 7時) (レス) id: 4540c0c235 (このIDを非表示/違反報告)
みー - 良い話でした!!何回も胸が締め付けられましたー。ありがとうございました! (2019年2月4日 1時) (レス) id: 3a7b075e71 (このIDを非表示/違反報告)
瀬菜(せな)@こたぬき(プロフ) - 桜雨さん» コメントありがとうごさいます!凄く励みになります!これからも頑張ります! (2018年12月19日 6時) (レス) id: 4540c0c235 (このIDを非表示/違反報告)
桜雨 - 面白くて良い設定ですね!続き待ってます!! (2018年12月18日 22時) (レス) id: c16785dbd1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瀬菜(せな) | 作成日時:2018年12月16日 16時

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