-22- YG ページ22
人生のドン底にいた俺。
そんな時 Aと出会った。
Aは、
部屋の隅にいるような俺を 気遣ってくれた。
澄んだ瞳が綺麗で、とても大人っぽい彼女。
Aも 交通事故により 母親を亡くしていた。
離婚していた
Aの父は 親権を放棄したらしく。
俺と同じ 独りぼっち だった。
それなのに こんなに 強く 明るい この子に
...俺はいつしか惚れていった。
そんなある日、
周りが怖くて 部屋に篭りっきりの俺に 出掛けようと 声を掛けてきた。
連れてこられたのは 人気のない 川沿い。
「ここ座って！」
そう言われ、ベンチに腰掛ける。
「私ね、将来歌手になるの！本気だよ！だから、今日は、特別に！タダで！初公開！私の歌をお聞かせします！パチパチ...ほら、パチパチ！！」
強制的に パチパチさせられ 手をグーにマイク代わりにして Aが歌う。
そして、
俺は あの事件以来 初めて口を開いた。
「...君の歌い方は人を不安にさせるね。それにもったいない。そんな綺麗な声してるのに、音程の安定感がないし、気持ちがないように感じる」
この当時の俺は 本当に 性格に難があった。
今思えば 最低だが、
Aは 予想外の反応をした。
「え！なに！君天才！？実は音楽の天才！？しかも、綺麗な声って言ってくれた！？照れるじゃん！」
YG「...は？」
「いつかユンギ君に認められるように頑張るね！」
この時の 笑顔。
未だに忘れない。
貶されてるのに ポジティブに捉える Aの前向きな性格。
たぶん、俺が恋をしたのはこの瞬間。
Aは
俺を 事件以来 初めて笑顔にしてくれた。
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作者名：MIN | 作成日時：2015年5月9日 0時
