狂犬くんと。【相良猛】

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me side



今村『どうぞ。』



「ありがとう。」



段々と暑くなってきた頃、私はわざわざ電車に乗って隣町へと来ていた。



それに目的地はサ店や商店街なんかじゃなく、オンボロ校舎。



色気ないし、味気ないし。



開久高校、と書かれた看板は錆びきって地面へと落ちている。



校門の生徒たちにガンを飛ばされながらも、私は中庭へと案内された。



…私はただ、会いに来ただけなのになぁ。



今村『智司さん、相良さん。連れてきたっす。』



目の前の男がのくと、ソファに座ったガタイの良い男と、目つきの悪い男。



私はその目つきの悪い方に近づいた。



周りの生徒がザワつくも、それを制止する片桐くん。



「男ならあんたから会いに来なさいよ。」



相良『ハッ、とか言っておめェから来ただろ。』



「…帰るわよ。」



相良『わーるかったよ、Aチャン？』



そう言われると、猛に手を引かれて膝上に座らされる。



全くもう…子供なんだから。



ぽん、と頭に手を置くと一瞬だけ猛の顔が緩んだ。



…ホントそういうとこずるい。



大瀧『…あのー、失礼なんすけど……この方は…。』



近くに立っていた男の子が私に向かって手を向けると、隣のソファに座っていた片桐くんが口を開いた。



智司『Aさんは、相良の女だ。』



相良『フン、なかなかマビぃだろ。』



その時、ツッパリたちの共学の声が開久高校に響いたのは言うまでもない。

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