勘違い三角関係【白鳥沢】

五色の場合 ページ13

練習が終わり、放課後。
今日こそ言うんだ！

「あの、Aさん！」
「んー？」

Aさんだけじゃなく、その場に居た白布さんや天童さん、瀬見さん、大平さんの視線が集まる。

「あの……！」

大きく息を吸って、想いを全力でぶつける。

「好きです、Aさん！！ 付き合ってください！！！」

Aさんをはじめとする全員の目が大きく見開かれた。

暫く呆然と立ち竦んでいたAさんの大きな目から涙がぼろぼろとこぼれだした。

「Aさん？！」
「ごっ、五色君……っ、あのね」

ぐずぐずと鼻をならしながら言葉を紡ぐAさん。
俺が頬に伝った涙を拭うと小さく「ありがとう」と言って続けた。

「私、五色君の事を好きな子を応援してるから……はいって言えないの」
「俺を好きな子？！」
「そうだ」

大平さんが答えた。

「へー。誰？」

水に石を投げるかのような気楽さで瀬見さんが言う。
Aさんが言った。



「天童君」

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