43:気づけない感情 ページ43
『う、うさ吉〜』
と、うさ吉のそばにより
さっき新開くんが撫でていたように私も撫でる。
ぽたりと、一粒涙が落ちた。
制服の袖にはじわりと、丸い染みをつくっていく。
どうすれば、いいの…
わからない。
新開くんは、あんなにも泣きそうな顔をしていた
なのに、私は…
こんな自分が嫌だ。
新開くんは、はっきりと
気持ちを伝えてくれたのに、私は何も言うことができなくて…ただの卑怯者だ。
のそりと立ち上がり、とりあえず教室に戻ることにした。
多分、新開くんの事を追いかても
何もできないままだ。
のそのそと、歩く私の足元に
「ニャ〜」
と、鳴く声が聞こえた。
猫だ。
手を伸ばし、触ろうとしたら
私の前を行く。
触られたくないのだろうか。
猫にも嫌われてる…?
なんなんだろ…私。本当に最低な人間だ。
猫について行くつもりはなかったけど
なんとなく、猫の後ろについていく。
猫がとまった。
…
「…(人1)?」
『…え?』
声がした方をみると、ベンチに座ってお昼を食べている黒田さん。
俯いて動かない私に声をかけてくれたのか…
その、黒田さんの声色を聞いて
私の瞳から涙が頬を伝った。
耐えていたものが一気に涙になって溢れて止まらなくなってしまった。
「えっ、オイ!?(人1)??大丈夫かよ!」
心配して、黒田さんが駆け寄ってくれた。
『く、黒田さぁ…ん…』
「待て、待て、えっと、とりあえず、座れ、ベンチ!」
泣き出した私に、黒田さんが手を引いてベンチに座らせてくれた。
「どうしたんだよ?!」
私の顔を覗き込み聞いてくる。
涙を、止めたいのに止められない。
涙腺が壊れてしまったのだろうか。
『…し、新開くん…の事、傷つけ、ちゃっ…た』
涙は溢れていくまんまだし、しゃっくりも止まらない。
そんな私に黒田さんは、背中をさすりながら
「うん」
と、頷いて聞いてくれる。
だから、続けて
『私が、はっきりしないから…どうしたら、いいのか、わかんな…い』
今でも、新開くんのことを異性として好きなのかわからない。
今まで、新開くんのことをそういった風にみたことなんて、なかった。
ドキッてするときは、あったけど、
それが好きなのかもわからない。
自分の事なのに、自分の感情ぐらいわからなきゃいけないはずのに
゛わからない゛で後回しにしていたから
新開くんのことを傷つけてしまった。
私に追いかける資格なんてない…。
どうすればいいの?
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翔(プロフ) - やばいっすね悠人君かわいい(*^O^*)最高です!後輩欲しいです。でも真波君とあんな風に仲良くなりたいです。(^-^)やはりクライマーは最高ですね♪ (2020年6月25日 23時) (携帯から) (レス) id: b9fae3d1e9 (このIDを非表示/違反報告)
弥紗 - 悠人くん最高!!!可愛い!!!意地悪な後輩好き!!!お話面白かったです!次の作品も楽しみにしています! (2018年4月24日 23時) (レス) id: 72716044e1 (このIDを非表示/違反報告)
ショウキチ(プロフ) - 悠人くんほんと可愛いです!面白かったです! (2018年3月27日 13時) (レス) id: f210b0456f (このIDを非表示/違反報告)
そ る と(プロフ) - 赤影真未さん» ありがとうございます!! (2018年2月14日 18時) (レス) id: d239b468ed (このIDを非表示/違反報告)
そ る と(プロフ) - 黒崎莉々香さん» ありがとうございます! (2018年2月14日 18時) (レス) id: d239b468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そ る と | 作成日時:2017年11月25日 0時