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そして始まる一日 ページ1

日差しがまだ頂点に昇る前、よく晴れた青い空の下に一人立ち、約束した相手を待っている。自らの家から少しだけ離れたところにある彼女の家の前で、彼女が出てくるのを待つ。

ほんの数分の時間でも、実際よりも長く感じるのは逃げ場のない暑さのせいだろう。時折シャツをぱたぱたと煽りながら待っていると、ようやくドアの開く音がした。



「ごめんね、待たせちゃって」

「いや、大丈夫。俺こそごめんな、忙しい時に」



俺のすぐ前まで歩み寄ってきた彼女を見下すような形で、常套句を並べつつひと通りの挨拶を交わした。爽やかなブルーのスカートと、レース使いのブラウス、首元に銀細工をぶら下げた彼女は俺を見て微笑んだ。


彼女は明日の朝の便でアメリカに発つ。高校を卒業した俺らはそれぞれ大学へ進学して、彼女は国際学部に進学した。そして彼女は今年の秋からアメリカへ留学することが決まったのだ。

だから今日は彼女と過ごす最後の一日と言っていい。ある程度の支度は済ませたとはいえ、おそらくまだやることも残っているだろうから、彼女を夜遅くまで拘束してはおけない。



「どこか行きたいところある?」



彼女の最後の日なのだから、彼女が行きたいところへ連れていこう、とは決めていた。だからそう問いかけたのだが、彼女は少し悩んでから「特にない」と答えた。そうならばどうしようか、考えを巡らせて出したのは、



「…スーパー、行っていい?」



右にずらした視線の先で、彼女が首を傾げている。そりゃあそうだ。出かける約束をしておいて、その行き先が近所のスーパーマーケットだなんて、予想しているはずもない。

腑に落ちないながらも首を縦に振った彼女を見届けて、俺達は足を踏み出した。

ばかみたいな思いつき→



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朱里(プロフ) - おと〜ふ。さん» 読んでいただきありがとうございます!感想をいただけてとても嬉しいです( ; ; )描写はいつも一番悩んでいるところなので、そう言っていただけて嬉しいです。励みになります。ありがとうございます!! (2018年9月30日 18時) (レス) id: d7d2aff1aa (このIDを非表示/違反報告)
おと〜ふ。(プロフ) - このお話めちゃくちゃよかったです!描写とかの表現も綺麗で、目次が泣かせにきてて、もう最高でした!!これからも楽しみにしてます(*´∀`*) (2018年9月30日 14時) (レス) id: f4bc1fabd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱里 | 作成日時:2018年9月29日 23時

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