居眠りには要注意 ページ6
side kei
「伊野尾くん！教科書忘れた！見せてよ！」
お昼休みが終わってぼーっとしていたら声をかけてきた彼の名は
雄也。
いのーくんいいにおいする、とこっちの気もしらず、首筋に顔をうずめてきた。
タラシで腹立つ。けど俺は高木の匂いがすき。
高校生なのに明るめの髪色が色っぽい切れ長の瞳を怪しい雰囲気にさせている。
パット見、ホスト。
そして、おれの彼氏。
「え、また?もーしょうがないなぁ...」
「あはは、ありがと慧」
笑うと少し幼くなる。
見た目と中身のギャップにやられるから
高木にドキ ド キしない人間なんているはずがない。
おれの彼氏はね、はさぼれる授業の時、毎回と言ってよいほど教科書を忘れるの
わざとでしょ、そんなこと。
おれは考えなくても分かるんだから。
先生も居ないし、みんな寝てるからおれと高木にとってラブラブする絶好の機会だからね！
チャイムがなってしばらくたち、みんながウトウトし始めたころを見計らい、
机をくっつけ、教科書を立ててその陰に隠れる。
机の下でこっそり繋いだ手は恋人つなぎ。
これまで何回もしてきたことだけど、やっぱり恥ずかしい。
ちらりと高木を見ると目があってお互いに目を合わせて笑う。
ふたりだけの秘密って感じで,おれたちって付き合ってんだ、と今更ながら実感する。
幸せだな、高木に告白されるなんて思ってもなかったよなぁ、
しかも放課後に呼び出されるとか... おれって女の子じゃん?
OKした流れで抱きしめられてそのうえ大人なキスまでされて
ぁぁぁぁぁぁぁぁはずかし、
おれはいつの間にか寝てしまったらしい。
「ね、慧起きてよ....」
無駄にいい高木のイケボでおれは起こされた。
無視しよっかと思ったけど声を聴くだけでカラダの中心が疼く。
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作者名：てぇる | 作成日時：2022年4月6日 11時
