▼ ページ9
爆豪くんが何を言おうとしているのかが分からず、彼の目をを見つめていると私の頭に腕を回して引き寄せる。顔が近づき唇が重なった。下唇に歯を立てられ、舌で舐められる。突然のことにあいた口から舌が入ってきて逃げるようとするけど、そうはいかない。彼の舌が無理やり私のこと舌を引きだして絡まわせる。
そしてようやく彼が怒った理由が分かった。
「ば、ばくごうくん…｣
口から声を漏らしながら、彼の名前を呼ぶと、唇はゆっくりと離れていった。瞑っていた目をあけて爆豪くんを見るとさっきよりも落ち着いた声でいった。
「テメェは女だ。この意味わかるだろ｣
わかんねぇなら…と言葉を詰まらせた彼は何かを堪えるような、苦しい表情で私を見た。
濡れた服が張り付いて、鍛えられた身体を浮き彫りにしていた。それは言わずもがな私とは全く違う体の作り。
｢ごめん｣
「これで、わかっただろ｣
「うん…」
爆豪くんの腕に手を置いて謝ると、その腕はすっかりと冷えきっていた。
「風邪ひく…｣
「なめんな。これくらいで風邪ひくほどヤワじゃねぇよ」
「でも…｣
服が濡れたままじゃ外にでれないし。と彼の濡れた服の裾を掴むと浴槽に身を乗り出して私に頭突きをした。
「痛っ！｣
「なめんなってんだろ。これくらいどうってことねぇ｣
「そっか…｣
気が付くと浴室の外から声は消えていた。爆豪くくんは立ち上がると扉に向かって歩き出した。
｢次は、ねぇぞ。どうなっても俺はしらねぇからな｣
「えっ、あ、うん。ありがとう｣
「これに懲りたら二度とこうならないよにするんだな！この、ボケ」
爆豪くんの言っていることに対して先程のことを思い出すと、心臓の鼓動が速くなるのを感じた。頬に熱が集まる。そんな中で彼の背中を見送る。やはり最後まで１度も後ろを振り返らずに浴室から出ていくと、私は緊張から解き放たれて深い溜息を吐き出す。
なんか余計疲れたような気がする。けど
「やっぱ好きだなぁ…なんて｣
彼の強情で意地っ張りな性格も内に秘めた感情も才能をもちながら努力を惜しまないところも、実は面倒見が良くて優しい面があるところも何もかもが好きだと改めて実感した。
―――――――――――
――――――
「ぁあー、クソ。なんなんだ、アイツは。あぶねぇ」そうポツリと小さな声で爆豪勝己は言葉を漏らした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あくあ | 作成日時：2018年5月10日 2時
