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「ば、爆豪くん、待って｣
小声で爆豪くんを呼び止めるけどそれでも反響して浴室に大きく響く。爆豪くんは動きを止めてくれたがこちらには振り返らない。
「あのさ、脱衣所に人がいるんだよね？今、爆豪くんが服着たまま濡れた状態でそこに行くと色々まずいと思うんだけど｣
「そんなん転んだとかなんとかいえばいいだろが｣
「そもそもなんでここにきたの？この時間は女子の筈じゃなかったっけ…｣
先に男子が入って、その後に女子が使用したので私は最後の掃除を引き受けて1人で浸かっていたはずなのに、どうして外には男子が、中には爆豪くんがいるのだろう。考えれば考えるほどにわからなくなって頭がこんがらがる。すると彼は私に背を向けたまま言葉を放つ。
「忘れもんしたって切島が言い出して、丁度女子が戻ってきた。んで、浴室の電気がついてるの見つけて開けたんだよ。そしたらテメェがいた｣
「……ごめんなさい。｣
「まぁ、誰もいねぇのか思って声もかけなかったしよ。俺も悪いだろ。｣
爆豪くんが謝るなんて珍しいとかおもいつつ、
「そんなことないよ…とは言い難いけど私も悪いし…｣という。
「もう、テメェは黙れや｣
お互いに言い合っているとと爆豪くんがくしゃみをした。思いっきりお湯を浴びせてしまったし、洋服も時間が経っているために冷たくなっているからであろう。
どうにかしなきゃ、でもどうしようと必死に考え、お湯に浸かればいいのでは思った。
「爆豪くんも一緒に入る？｣
「あ？｣
「寒いよね？お湯温かいし服着たままでも大丈夫じゃないかな。なんならズボンと上は脱いで、下着だけとかなら水着みたいな感じでいいんじゃないかな｣
あれ。私なんかちょっと変なこといった…？
ともかく、幸いなことにお湯は乳白色だから私の身体も見えないだろうし、浴槽も広く、密着する必要もない。なんと不幸中の幸いだ。せめて外の男子達が去るまではと思って声をかけると爆豪くんは「あぁ゛？」と振り返り、近寄ってくる。どうしてそんなに怒っているのかと、目を丸くさせていると爆豪くんは声を圧し殺し言いはなった。
「テメェ今の状況わかってんのか！バカなのか？いや、バカだな！！｣
「お、お風呂場で、試練をのりこえようと…？｣
「仮にも俺は男で腐ってもテメェは女だぞ！！このクソがっ！！｣
▼→←A moment in the bathroom【爆豪】
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作者名：あくあ | 作成日時：2018年5月10日 2時
