【3年A組】time limit 3【柊一颯】 (ページ48)

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side -sakura-

『……病気って…

なに…？』

呆然とした様子のAの問いに

誰も答えようとはしなかった

いや

誰も答えられなかった

静まり返った教室の中で

機械でザラついた先生の声だけが

スピーカーから聞こえる

柊《……っ…

あいつらの将来を…俺は見届けることができない…

でも！

だからこそ！

……あいつらには幸せになってもらいたい…》

先生も、覚悟の上なのだろうか

Aはただスピーカーを見上げて

それを聞いていた

茅野「ち、違うの！

そうじゃなく…」

『先生、病気なの…？

ねえ！

先生はっ…』

宇佐美「A！落ち着いて！」

『見届けることができないってどうして？！

ねえ！なんでっ！』

私たちの声も届かぬままAは床に崩れ落ち

"どうして" と繰り返しながら泣き続けている

甲斐「……A…！

Aっ！」

硬直するみんなの中

甲斐くんがAの肩を掴んで顔を上げた。

甲斐「……落ち着いて聞け

あいつは…」

宇佐美「甲斐っ！」

甲斐「柊は

もう長くない」

『……え…？』

知らせてしまった真実に

唯月も諦めたように口を開いた

諏訪「……ブッキー、癌なんだって…」

『…え、なに……？

……みんなは知ってたの…？

なんで教えて…』

里見「ブッキーに頼まれたんだよ」

『…先生、に……？』

中尾「ああ…

"Aにはまだ秘密にしておいてくれ" って……」

『どう、して……』

里見「わかんねえ…

けどきっと

お前を思ってそう言ったんだと思う…」

その言葉を聞いて何を思ったのだろうか

Aは涙を袖で拭って

一目散に教室を飛び出して行った

甲斐「Aっ！」

そう言って後を追おうとした甲斐くんを

私は無意識に止めていた

茅野「……ごめん…

行かせてあげてくれないかな…」

コレはきっと、私たちが踏み込んではいけない

2人の絆なのだろう