【3年A組】time limit 3【柊一颯】 (ページ22)

今日:5 hit、昨日:24 hit、合計:97,840 hit

. ページ22

side -ibuki-

ｶﾞﾁｬﾘと音を立てて閉められた扉を確認して

俺は漸く体の緊張を解いた

「…う"あっ…はぁ……」

痛みに耐えながらも机に手を付き

取り出した鎮痛剤を喉に流し込む

Aに気づかれてはいないだろうか

彼女にバレないようにと必死に堪えてきたが

限界が迫っているのか体が悲鳴を上げているのがわかる

今は引いてきた痛みも

最近は頻度が増してきていた

「……バレるのも時間の問題、か…」

だが

そんな想像をしている暇もなく

結城が先程の動画を投稿しようと指を進めている

俺はすぐに放送ボタンを押すと

マイクに向かって口を開いた

「はい、ざんね～ん！

結城、今すぐ携帯持って来い」

それから間もなくして

準備室の扉がｺﾝｺﾝと音を立てた

柊「まったく、油断も隙もないな

あ、

水越にはこのこと黙っとけよ？」

そう言ってし出された携帯を受け取ると

結城は目線を鋭くして言った

結城「Aさんから聞いたんですか」

その言葉に

俺は今朝聞こえてきた彼女らの会話を思い出した

「大体

なんであんな犯罪者の言うこと信じるの？

馬鹿みたい

きっとAさんを利用しようとしてるだけに決まって…」

『何も知らないのに

先生のこと悪く言わないで』

「……もし告げ口したら、マイボイに書き込むよ？

先生が生徒と付き合ってましたー、って

話題になっちゃうね」

Aがあんな風に怒っている姿を今まで見たことはなかったが

おそらくこの会話からAが俺に告げ口したのだと勘違いをしているのだろう

柊「もしそうだったら

どうするつもりだったんだ」

結城「……そうだったら…」

柊「ネットで俺らのことを晒しものにしようとしてたのか？」

結城「え…なんで知って…」

柊「聞こえてきただけだよ

だが

残念ながらAは何もしてない

コレを見つけたのは洗面所の防犯カメラだ」

そう言って俺は結城の携帯を乱暴に机に放り

ｸﾞｯと彼女に顔を寄せた

柊「次同じことしたらペナルティーだからな」

彼女の目に俺はどう写ったのだろう

結城は小さく悲鳴をあげると

足早に美術室を後にした