。 − in the past − ページ10
4月某日───
side -you-
私は変わらない日常に疲れていた
変わらないと言っても
新学期が始まってすぐで新しいクラスでもある
だが
そんな環境でさえもつまらないと思うようになっていた
毎朝同じ時間に登校し
毎日同じだけの授業を受け
毎日同じようにクラスメイトと会話をする
そんな中、唯一の楽しみは絵を描くことだった
美術部に所属していた私は
これまた毎日同じように美術室へと足を運んでいたのだが
絵は人を飽きさせることはしなかった
題材、色彩、材料
様々なものによって絵は姿を変える
それに顧問の柊先生との関係もそれなりに良かったし
先生と会うのも1つの楽しみだったと思う
その日も変わらず
放課後の誰もいない美術室で絵を描いていた
その時は先生が出張でおらず
私は寂しさを紛らわすように先生の絵を描いていた
絵を描くことに夢中だった私は
彼女の存在に気が付かなかったのだろう
「Aさんって、そんな顔するんだね」
『えっ…』
振り向くとそこに立っていたのは澪奈だった
当時の私達は挨拶を交わす程度の仲で
特別親しかった訳でもなければ
仲が悪かった訳でもない
今思えば
私は誰に対しても一定の距離感を保っていた
「それ、柊先生でしょ?」
キャンバスに目をやりながらそう問いかける澪奈に
私は少しだけ前のめりになった
『うん、そうなの!わかるかな?』
「わかるよ、凄く上手だもん
…綺麗だね」
『モデルがいいからだよ
知ってる?
柊先生って、凄く綺麗な顔してるんだよ?
私、絵を描いてる先生の顔を見るのが好きなの』
先生の姿を思い浮かべながら話をしていると
澪奈は少しだけ驚いた表情をしてから私にこう言った
「……いつもそんな顔してればいいのに」
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佐藤。(プロフ) - マドレーヌさん» ありがとうございます!本当に不定期すぎる更新で申し訳ないです…。頑張ります! (2019年10月11日 18時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
マドレーヌ(プロフ) - とてもおもしろいです(*^^*)一気読みしてしまいました!これからも頑張って下さい♪応援してます(p`・ω・´q) (2019年10月4日 19時) (レス) id: c84dba5333 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤。(プロフ) - 歌波さん» そうなふうに言っていただけて嬉しいです…!完璧なる自己満足作品ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年5月3日 16時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
歌波 - 神作をまたもや発見 (2019年5月3日 14時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐藤。 | 作成日時:2019年4月30日 18時