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緊張のためか少し高鳴る鼓動を落ち着かせてドアを叩く






『…先生、起きてますか?』






閉じられた扉に向かってそう話しかけると


ガチャリとドアノブが回った






「……入れ」






中から出て来た先生の言葉に従って中へ入ると


先生は直ぐにパソコンの前の椅子に腰掛ける









「それで、なんの用?」




『あ、えっと…その…




…眠れないから話し相手が欲しくて?』




「なんだそれ」






その返事に私はアハハと小さく笑って誤魔化すと


しばらく沈黙が続いた




だが


その沈黙は先生の言葉で遮られる






「いいのか?俺と2人でいて」




『え…?』




「さっき見てただろ




俺は中尾を殺して…」


『嘘、ですよね…?』




「………」






先生が顔を強ばらせたのを見て


私は覚悟を決めて言葉を紡いだ






『…見たんです




先生が中尾くんを刺す直前に


胸元に血糊の袋を入れてるの…』






返事をすることなく困ったように頭をかいている先生に


私は一歩ずつ近づく






『先生は何か目的があって


こんな事件を起こしたんですよね?




私利私欲のためなんかじゃなく


もっと重要な何かのために




……だから中尾くんを殺さなかった




……それに…




……別れを持ちかけたのも


……私を…









私を、事件に巻き込まないようにするため……です、か…?』






コレは私がそう思いたいだけなのかも知れない




そうであって欲しいと思っているからかも知れない




先生の顔を見るのが怖くて


今にも溢れそうな涙を見せたくなくて


私は固く目を瞑りながら続ける






『…だとしたら……


…もし、そうなのだとしたら……




……私はそんなの嫌、です…


私はっ…!




私は先生のこと、好…』






その瞬間


私の鼻をあの香りが掠めた

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佐藤。(プロフ) - マドレーヌさん» ありがとうございます!本当に不定期すぎる更新で申し訳ないです…。頑張ります! (2019年10月11日 18時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
マドレーヌ(プロフ) - とてもおもしろいです(*^^*)一気読みしてしまいました!これからも頑張って下さい♪応援してます(p`・ω・´q) (2019年10月4日 19時) (レス) id: c84dba5333 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤。(プロフ) - 歌波さん» そうなふうに言っていただけて嬉しいです…!完璧なる自己満足作品ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年5月3日 16時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
歌波 - 神作をまたもや発見 (2019年5月3日 14時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:佐藤。 | 作成日時:2019年4月30日 18時

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