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「最近、楽しそうだな」
放課後の美術室
先生が突然そんなことを言った
部活を終えて帰宅しようとした私を先生が
"絵のモデルになって欲しい" と呼び止めたのだ
『そうですか?』
「ああ、何だか少し表情が柔らかくなった」
『うーん…澪奈達かな?
2人といると何だか楽しくて』
「なるほどな…
俺としてはAと話す時間が減って残念だが」
私は手を止めることなくそう言った先生に近づくと
後ろからソッと抱きしめた
普通、モデルをやっている時は動いてはいけないものだろうが
何だか無償にこうしたくなった
『…先生、嫉妬ですか?』
「さあな」
これは先生なりの "Yes" の返事なのだろう
私は腕の力を一層強めた
『私が愛してるのは先生だけですよ…?』
そう言うと先生は手を止めて振り返り
優しい口付けをした
いつからこのような関係になったか
明確なことは言えないが
お互いの愛情は言葉を交わさずとも確認できた
私は少し長めのキスに目を瞑ると
暫くして唇は離れた
「…まあ、俺にだけだと思ってたそんな顔を振りまかれて正直ショックだったが…
お前の楽しそうな顔を見てると
そんな感情も薄れたよ」
そう言うとまたキャンバスに視線を移して
手を動かし始める
数分後、先生はカチャリという音ともに鉛筆を置いた
「…よし、出来た」
鉛筆で描かれたそれは色がないにも関わらず
ひどく美しいものだった
キャンバスの奥で柔らかな笑みを浮かべる女性は
とても自分とは思えない
『先生…私こんなに綺麗じゃない…』
「Aは綺麗だよ
でも……」
先生は私の腕を引っ張るようにして
自身の顔を近づけた
「他の男にはそんな顔するなよ」
私はそれにフッと微笑むと
もう一度口付けをした
『先生も、他の女の子に取られないで下さいね?』
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佐藤。(プロフ) - マドレーヌさん» ありがとうございます!本当に不定期すぎる更新で申し訳ないです…。頑張ります! (2019年10月11日 18時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
マドレーヌ(プロフ) - とてもおもしろいです(*^^*)一気読みしてしまいました!これからも頑張って下さい♪応援してます(p`・ω・´q) (2019年10月4日 19時) (レス) id: c84dba5333 (このIDを非表示/違反報告)
佐藤。(プロフ) - 歌波さん» そうなふうに言っていただけて嬉しいです…!完璧なる自己満足作品ですが、これからもよろしくお願いします! (2019年5月3日 16時) (レス) id: e3ca0308e7 (このIDを非表示/違反報告)
歌波 - 神作をまたもや発見 (2019年5月3日 14時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐藤。 | 作成日時:2019年4月30日 18時