【3年A組】time limit【柊一颯】

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『そんな顔…？』




「凄く優しい顔してた



Aさん、いつもみんなに対して笑顔だけど


無理して笑ってるように見えてたから」






自分でもどんな顔をしていたかわからなかったが


何故だか澪奈に返す言葉が見つからなかった




それはきっと


澪奈に言われたことが図星だったからだ









暫くの間、私は笑うことを忘れていた




小学生のときに母親が自 殺をした




原因は父親の暴力




普段は優しい父だが


元々頭に血が登りやすい人だったため


機嫌が悪くなるとよく母に暴力を奮っていた




そんな状況に耐えられなくなった母は


ある日カッターナイフで切った腕を浴槽に沈めていた




必然的に私は父と2人で暮らすことになり


父は母に奮っていた暴力を今度は私に奮うようになった




私は出来るだけ父の機嫌を損ねないように


出来るだけ笑顔を振りまいた




それはいわゆる作り笑いというもので


私はいつしか本当の笑い方を忘れた




だが


そんな時に出会ったのが先生だった




先生と話しているときは


自然と笑顔を取り戻すことが出来た




真っ暗だった世界に


色が着いたような気がした









沈黙が続く中、澪奈がゆっくりと口を開いた






「ねえ、Aちゃん！友達にならない？」






突然の名前呼びに戸惑ったが


それを聞く限りでは澪奈の中で私は


既に友達という枠に入れられていたのだろう




だが、そんな強引な形にも私は不快感を覚えなかった




だから自然と笑って返してしまったのだと思う









『うん、よろしくね、澪奈ちゃん』

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