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それからも辰哉と身体を重ねることは少なくなかった。
だけど付き合うとかはなく、本当にそういう関係になってしまっただけで。
” Aは特別 ”だとかはよく言ってくれるけど、1番言って欲しい” 好き ”の2文字だけは絶対言ってくれなくて。わたしたちは曖昧なまま。
それに多分だけど、辰哉は他の人ともまだ関係を持っている。よく女物の香水の香りがするし、時々みえるケータイの通知には女からの誘いだったり。
その度に気が狂いそうになるし、辰哉にとって私はなんなの?って聞きたくなる。
こんなこと相談できるのは真奈しかいなくて。
私の気持ちを知っている真奈は
「今すぐやめな!そんな関係!」
っていっぱい怒ってくるけれど。
どんな扱いをされようが、身体だけの関係だろうが
やっぱり私は辰哉が好きで、
嫌いになんてなれなくて。
寧ろ、一度彼に抱かれる幸せを味わってしまった今、
私自身も彼を求めてしまっている部分もあって。
それにもし、彼の誘いを断ったら?
きっと別の女を誘って夜を一緒に過ごすのかもしれない。
私にとったらそっちの方が耐えられないし、だったら遊びでもいいから私を抱いて欲しい。
どんな関係でも、彼のそばにいられるのならそれでいいんだ。
いつしか私は、そんな歪んだ考えを持つようになってしまった。
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作者名:chi | 作成日時:2021年3月4日 23時