好き、その一言 1 【紫】 (ページ23)

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「な、に言ってんのっ…」

深澤「なにって、そのまんまだけど？」

「まだ酔っ払ってんの？」

深澤「酔ってねーよ、もう覚めた」

うそだ、うそだ、絶対まだ酔ってる。

こんなこと今まで1度も無かったもん。

こうやって誘ってきたり、家に連れてきたり、ましてや手を繋いだり

何年も一緒にいたけど、こんなこと1度も無かったよ。

「ダメだよ、」

深澤「なんで？」

「わたしたちは、ダメだよ……」

多分、この誘いに乗ったら終わる。

私たちの関係性は一気に変わってしまう。

ずっとずっと友達でいたかはこそ、絶対にしてはいけない。

だからこそ、辰哉の誘いを押しのけて帰ろうとしたんだけど、

深澤「ねぇ、A……」

「っっ……」

頼むから、

そんな甘い声で、そんな甘い顔して、名前を呼ばないで欲しい。

決心が揺らいでしまいそうで。

だけど

深澤「俺の部屋、行こ？」

やっぱり、好きな男

どうしても目の前の欲には勝てなくて。

「うん……」

意図も簡単に崩れてしまった私の決意。

この時、承諾したのは自分自身。

だから私たちは同罪だ。

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