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やっと動く気になりとりあえず顔を洗い、軽く朝食を食べ、いつも通りテレビ前に置いてあるテーブルでメイクをする。
スキンケアをしながら無音もなんだかなって思いテレビをつけると、そこには朝夢にでてきた彼が映っていた。
「…っっ、」
思わず動かしていた手を止める。
他にも何人か見慣れた人物が映っていて。
基本彼らのことは目にしないように気をつけていたんだけど、最近はやたら見る機会が増えた。
まさか朝から出ているなんて、油断した
何でだろうって思ったけど左上の日付をみてすぐに納得
「そうか……今日か…」
1月22日
彼らにとって記念すべき日。
そりゃ朝から出ているはずだ。
「って、やばいやばい、」
思わずテレビに釘付けになっていたけど時間がないんだった。
すぐに準備にとりかかる。
……テレビは付けたままで。
いつもならすぐチャンネルを変えるけど、今日だけは、ってこのままにした。
準備に集中しながらも耳だけはテレビに集中していて。
しかも彼の名前が出たり笑い声が聞こえる度にその手を止め画面に釘付け。
そんな自分に呆れてしまう。
何年経っても彼の全てに反応してしまうもんだから、もしかしたら1種の病気なのかもしれないな。
久しぶりにこんなにじっくり彼をみた。
あの頃より大人っぽくなった彼はさらに磨きがかかっていてカッコよくなっていた。
そして横を向いた時見えたピアス。
それは今日夢にでたピアスじゃなくて、全くの別物だった。
(もしかしたらそれも誰かとお揃いなの？)
だけどそんなヤキモチ、私が抱く権利はないんだ。
無意識のうちに自分の耳たぶを触れていて、でも私の耳にももちろんそのピアスは付いていない。
そりゃあそうだ。
何年前だと思ってるの。
それに手放したのは自分なのに。
なんでこんなに悲しい気持ちになってるんだ。
おこがましい。
だけど
「デビューおめでとう…」
そう呟くことだけは許して欲しい。
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作者名：chi
| 作成日時：2021年3月4日 23時
