貧乏揺すり ページ7
(side Marco)
Aの引渡しの為、俺達は航路を引き返しコノハの港へと向かっていた。いくら荒れ狂う海とはいえ、赤髪達がAを拾ったということは少なからず同じ海域にやつらもいるのだろう。
あと2日も経たないうちに俺達はコノハの港で落ち合う予定だ。当日、四皇2人が事実上衝突するのなんて誰にも予想がつかない。万が一の自体に備えて俺達隊員は鍛錬を欠かさなかった。
報せではもう既に赤髪達はコノハへと到着しているらしく、さっそくAを連れた赤髪が街へと繰り出したと連絡があった。あの男、ただでさえ彼女に手紙やらプレゼントやらを送り付けてはいけ好かない野郎だ。この期に及んでまだ連れ出すだなんて宣戦布告以外の何者でも無いだろう。
それにしても赤髪の仲間はそんな様子を隠そうともせずに逐一報告してくる。どうやらAへの手厚い対応を宜しく思ってはいないらしい。それはそうだろう。取るに足らない、ましてや懸賞金50ベリーの女海賊にうつつを抜かす四皇だなんて情けないのだろう。
納得はするがAを軽く見られているのはどうにも腑に落ちない。今すぐにでも彼女をそんな無粋な連中から連れ出したいと思うのは、もしかすれば赤髪も同じ心境なのかもしれない。ヤツの野心に火を付けたのは少なからず自分のせいだと自負しているだけに、やはり一刻も早くAを引渡してほしい。
再び顔を合わせるAはどんな顔をするだろう。
捨てられた怒りに満ちた顔だろうか。いや、Aの事だ。寂しさと情けなさを噛み潰したみたいな苦い笑顔を浮かべるだけで、その後はまたあの形容しがたい優しい顔で｢ただいま｣とでも言うのだろう。
そんな顔をされて、果たして俺は自分を許せるだろうか。
直接的ではないにしろ、彼女を生死の淵に立たせたのは俺自身だ。彼女を守りたかった、それだけで、その想いが皮肉にも彼女を奪ってしまう所だった。
なんて身勝手な思いだろうか。再び彼女の顔を見れば触れる手を自分一人ではきっと抑えきれない。
精一杯の理性を振りかざして頭を下げるのが限界だろう。初めてこのモビーディック号に彼女が乗り込んだ日のように、きっと甲斐甲斐しく世話を焼いてしまう。
贖罪の気持ちよりも何倍も、何十倍も、今はただ彼女に早く会いたかった。酷く利己的な自分にもはや嫌気が指す。
こんな鬱蒼とした気持ちを払拭できるのは、やはり頭に浮かぶ彼女の満面の笑みだけだった。
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みかん(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！無理せずに頑張ってください！ (2020年10月23日 2時) (
レス) id: fdb31f13e0 (このIDを非表示/違反報告)
なほ(プロフ) - 続き、どうなっていくのかとてもドキドキしています…！すごく素敵な文章なので、本当に楽しく読ませていただいております！完結までついて行かせてください！！ (2020年5月19日 7時) (レス) id: 8033be3257 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 哀羅さん» ご覧頂きありがとうございます！更新が遅くなり大変申し訳ありません…！完結までどうぞよろしくお願いします！ (2020年5月4日 20時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 「ぱずる」さん» ご覧頂きありがとうございます！わたしなんぞの作品でお力添えできたのなら幸いです…！お返事も大変遅くなり申し訳ありませんでした！完結までどうぞよろしくお願いします！ (2020年5月4日 20時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅 - ずっと愛読させてもらってます！今一番思うことはとにかく！先が気になる…〔笑〕更新ゆっくり自分のペースで良いと思います！更新楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2020年4月25日 11時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年5月25日 1時
