白は正義か2 ページ5
(side You)
シ｢…どうした…久しぶりの陸は疲れたか？｣
心配したような、軽口でも叩くような、いつもの調子で口を開く彼。浮かべる笑みもいつも通り。いつもと違うのは真っ直ぐな視線が今は泳いでしまっていることだ。
こんな姿は短い航海の間、一度も見た事は無かった。そう思うとより一層、自分の身の振りを悔やむ。仮にも命を拾い上げてくれた大恩人だ。そんな彼にこの顔をさせるなんてとんだ恩返しだろうか。
袖を掴む力が強くなる。この人に似合うのはもっとこう、晴れ渡るような笑みだ。
『あの！シャンクスさん！』
突然、語気を強めた私に驚いた彼は眉を大きく曲げる。何か言いたげだがここは譲れなかった。
『わたし、もっとあなたと話がしたいんです！残念ながら、あなたのことはほとんど何も思い出せてはいませんが…だから教えて欲しいんです！わたしはあなたにとってどんな人間だったのか』
道端でこんな事を言うなんてとんだおとぎ話のようだが、恥じらいと彼を天秤にかけている暇など無かった。一方の彼はと言えば、私からそんな言葉が飛び出るとは思ってもみなかったらしい。目を見開いて口をあんぐり開けて固まってしまった。
『あ、あの…シャンクス、さん？』
そこまで気に触るような話だったのか、なんだか不安になり堪らず名前を呼ぶが、彼はしばらくの静止の後に急にプッと吹き出していつもの様にカラカラと笑いだした。
シ｢ハハ！そうか、ハハッ…いや、すまない。そうだな、お前も海賊じゃねえか、女だと線引きして悪かった！｣
1人で納得したのか何やらよく分からない事を呟いてはガシガシと頭を撫でられる。彼の手はいつもより暖かくてむしろ熱いくらいだった。
『ちょっ、と！せっかく整えたのに！』
島に降りると思い、あの船の上でできる繕いを自分なりに施したつもりだ。パサつく髪では今の状態で精一杯なのだ。
シ｢よし、そうと決まればどこかで食事でもしながら話そう！何から聞きたい？俺とお前の運命的な出会いを話してやろうか？｣
上機嫌で肩を組むシャンクスさんはその顔に浮かべる満面の笑みまでいつも通りで、そんな彼に胸をなで下ろした。やっぱり彼には零れ落ちんばかりの幸せな笑みが良く似合う。
シ｢ここの海鮮は絶品だが酒が不味い！この店はまた今度にしよう！｣
というより、いつにも増して上機嫌ではなかろうか。お店選びの手は口とともに止まらない。楽しそうな彼の横顔は見ているだけで安心する。
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みかん(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！無理せずに頑張ってください！ (2020年10月23日 2時) (
レス) id: fdb31f13e0 (このIDを非表示/違反報告)
なほ(プロフ) - 続き、どうなっていくのかとてもドキドキしています…！すごく素敵な文章なので、本当に楽しく読ませていただいております！完結までついて行かせてください！！ (2020年5月19日 7時) (レス) id: 8033be3257 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 哀羅さん» ご覧頂きありがとうございます！更新が遅くなり大変申し訳ありません…！完結までどうぞよろしくお願いします！ (2020年5月4日 20時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 「ぱずる」さん» ご覧頂きありがとうございます！わたしなんぞの作品でお力添えできたのなら幸いです…！お返事も大変遅くなり申し訳ありませんでした！完結までどうぞよろしくお願いします！ (2020年5月4日 20時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅 - ずっと愛読させてもらってます！今一番思うことはとにかく！先が気になる…〔笑〕更新ゆっくり自分のペースで良いと思います！更新楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2020年4月25日 11時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年5月25日 1時
