膨らむ ページ2
(side Shanks)
昔から、欲しいと思ったものは割りと簡単に手に入る方だった。
仲間も、物も、女も。人に好かれるのにはそれなりに自信がある。世の中誰とでも仲良くやれた方が上手く渡れるってもんだ。
初めてAを見て、話して、笑い合った時に同じように欲しいと思った。触れてしまえばその艶やかな髪の手触りが指先から離れなかった。
しかしまあ、あんなに弱そうな彼女が白ひげ海賊団の一員に名を連ねているとは。あの親父も良い趣味をしている。
流石に1人の女のために戦争なんて起こすもんでもないと一度は諦めたが、果たしてどうだろうか。一度ならず二度、三度と巡り会えるなんて、やはり俺はツイている。
俺は堪らず自分のビブルカードを送ったのだった。俺の爪の垢が入ってるんだ。帰巣本能なら信頼を置ける。
浜辺に打ち上げられたAを見た時に確信した。
船上へと引き上げたAのポケットからは俺が送ったペンダントとビブルカードが出てきた。白ひげ海賊団の一員である彼女が、敵であるはずの自分の贈り物を肌身離さず持っている。
なんていじらしいんだろうか。これに期待しないやつなんてのは男じゃない。
初めてだった。女のために毛布をかけては額の布を濡らして片腕と両足を駆使してなんとか絞ってと甲斐甲斐しく世話を焼いたのは。不思議とそうしてやりたくて仕方なくなったのだ。
目覚める瞬間に俺の事を見て欲しい。驚いた顔で慌てだしたらすぐに冗談でも言って笑わせてやろう。それからまた、冒険の話をして傷の痛みを忘れさせるほどに笑い合いたい。
布団から少し出た傷だらけの彼女の腕をとり、指先にこっそりと口付けた。早く目を覚ましてくれ。話したいことは積もる一方なんだ。
そうだ、目が覚めたら腹も減っていることだろう。今のうちにコックに話を付けておこうと席を立ち部屋から出る。窓から差し込む扉の前で振り返ると陽の光を浴びて俺の送ったペンダントの石が赤く光った。
早く話がしたい。あの深く吸い込まれるような瞳を見つめていたい。笑った時にできる目元のシワが愛らしい彼女だった。会わない間に失ってはいないだろうか。
コックの元へと足が急ぐ。途中通り過ぎたあの部屋もすぐに見せてやりたい。また気持ち悪い、とでも言いながらシワを作るだろうか。
こんなにも時間が早く経つ事を望んだことはなかったが、やはり俺は運が良い。コックに話をつけて部屋に戻ると大きな瞳が揺れていた。
俺達はきっと、
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みかん(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます！無理せずに頑張ってください！ (2020年10月23日 2時) (
レス) id: fdb31f13e0 (このIDを非表示/違反報告)
なほ(プロフ) - 続き、どうなっていくのかとてもドキドキしています…！すごく素敵な文章なので、本当に楽しく読ませていただいております！完結までついて行かせてください！！ (2020年5月19日 7時) (レス) id: 8033be3257 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 哀羅さん» ご覧頂きありがとうございます！更新が遅くなり大変申し訳ありません…！完結までどうぞよろしくお願いします！ (2020年5月4日 20時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 「ぱずる」さん» ご覧頂きありがとうございます！わたしなんぞの作品でお力添えできたのなら幸いです…！お返事も大変遅くなり申し訳ありませんでした！完結までどうぞよろしくお願いします！ (2020年5月4日 20時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅 - ずっと愛読させてもらってます！今一番思うことはとにかく！先が気になる…〔笑〕更新ゆっくり自分のペースで良いと思います！更新楽しみにしてます。これからも応援してます！ (2020年4月25日 11時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年5月25日 1時
