別れ ページ7
(side Marco)
サ｢…じゃあな、A、ラグナ。元気でやれよ｣
いつもは騒がしいサッチがしんみりと別れを惜しむ。やつはAの事を本当の妹みてえに可愛がっていた。捕虜だったAを保護してからはバーテンダーとして本格的に働き出すまで何かと世話を焼き、変な虫がつかないようにといつも目を光らせていた程だ。
固く握手を交わした2人は、他人から見れば立派な兄妹だ。
サ｢いいか？変な男にだけは絶対に着いていくなよ？お前は頼まれたら断れないタチだもんなぁ…ああ、あと、あまりにも上手い話には裏があるもんだ、簡単に頷くな。それから玉ねぎを炒める時には…｣
あれこれと涙目になりながら世話焼き言葉を口にする兄貴分を、Aは呆れ半分愛情半分で笑って聞いていた。
ラ｢マルコ…｣
輪を抜け出したラグナが気まずそうな顔をして寄ってきた。
ラ｢あの…Aさん、本当に…？私が原因なら、そんなの取り消して欲しくて…！｣
昨日は取り乱していたが、一晩考えて我に返ったのだろう。ラグナはAによく懐いていた。昨日の言葉が本心じゃ無い事ぐらいは分かっている。
マ｢関係ねえよい。Aはいつか船を下りる予定だった。それに、お前にもお目付け役が必要だろい？｣
そう、いつかこの日は来る予定だった。何度も心に言い聞かせる。
ラ｢でも…！｣
言い聞かせたはず。これ以上考えれば、俺はもう立っていられない。ラグナの肩をぐっと掴みなんとか平静を繕う。
マ｢この島は親父の領地だ。お前も、Aも、普通の女として生きろよい｣
吐き捨てるように情けない言葉を呟いて手を離す。俯いたラグナが｢ずるい｣と一言口にしてまた輪の中に戻って行った。
ひとしきりサッチとの別れを惜しんだAがこちらへ駆け寄ってくる。俺も堪らず歩み寄った。昨日と変わらないように見える笑顔は、目元が少し腫れていた。
『マルコ隊長、今までたくさん、ありがとうございました…』
Aが頭を下げる。パッと上がったその顔はやけに晴れ晴れとしていて、今まで見ていたどんな彼女よりも魅力的だった。
『私、マルコ隊長に救って貰って、この船に乗っている間、ずっと幸せでした』
やめてくれ
『私の人生で1番の、輝かしい日々でした』
やめろよ
『この船に乗れて、あなた達に…マルコ隊長に出会えて、幸せでした』
もう、やめてくれよ
マ｢っ…｣
1人では立っていられない俺は、目の前の小さな肩を抱き寄せた。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
