鶴の一声 ページ48
(side Marco)
早くなる鼓動を押さえて親父の元へ歩み寄る。意地悪く笑った親父はもう何もかも見透かしているようだ。
マ｢親父、赤髪の所から使者が来てる。手紙を持って来たらしい｣
白｢グララ…随分余裕が無さそうじゃねえか、なあマルコ｣
少し噛み合わない返事は俺をからかっての事だろう。ニタニタと笑みを浮かべる親父が今だけは、ほんの少し憎たらしい。
マ｢…｣
白｢そうか、赤髪小僧のところにAが居るのか…やるじゃねえか、あの小娘も…グララ｣
四皇というのは恐ろしく察しの良い生き物だ。1を言えば10を軽く見通してくる。やりづらいったらありゃしねえ。
俺が押し黙っているのを後目に、親父はいつものように酒を煽った。
白｢お前ェの好きにしな、マルコ。俺ァ愛する息子と明日の酒が一番なんだぜ｣
からりと笑った親父は目元を緩め、その大きな手でガシガシと俺の頭を撫でた。からかわれている事なんてもうどうでも良くなってくるこの手は紛れもなく父の風格を持っていて。
マ｢…ふ、あんたにゃ、頭上がんないねい｣
なんて懐のデカさだろう。きっとこの時代に生まれ落ちて、ここに立っている俺は幸せ者だ。
踵を返して部屋を出る時に一瞬、視線だけで振り返ると、なんでもない顔をした親父が酒を煽っていた。本当に適わねえよ、あんたには。
甲板へ進む足取りが異様に軽い。2つに思えた心臓は不思議とひとつの鼓動を刻んでいて、早る足に羽が生えたみたいだと柄にもない事を考えてしまう程だった。
ーーー
ーー
ー
無事、俺達の疑いの視線を全身に受けつつ、このモビーディック号に乗船した赤髪の使者は、手紙を広げる親父の前でいつかのAみてえに小さく萎縮している。
使｢あ〜、その、とにかく、Aって女は無事だぜ。お頭も不思議なくらい肩入れしてるってんで、俺達も気味悪がってるところなんだ。あんたらの仲間だってぇなら、早いとこ引き取って貰いてえんだ｣
世界最強と名高い男を前に早口になる赤髪の使者。無理もない。女1人を届けるためとはいえ、白ひげ海賊団の鉄の掟を知っていれば言葉一つでも慎重になるというもの。
白｢手紙なんて寄越しやがって、あの小僧も偉くなったもんだ｣
呆れたような顔で頬杖をつく親父。眉間に寄った皺が赤髪の使者を萎縮させる。が、俺達はその顔が余裕を含んでいるのを知っている。
白｢こいつは俺の大事な娘だ。傷一つ付けるなって赤髪小僧に伝えとけよォ｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
