宙ぶらり ページ47
(side You)
不思議だ。色とりどりのドレスを見たあの日からどうにも足取りがふわふわとして、手に僅かに残る柔らかくてほんのりと暖かい羽毛のような感触が離れない。
思い出す光景は高い高い空の上なのに不思議と恐怖の記憶は無くて、むしろ手から伝う温度が絶対的な安心感を帯びていた。自慢じゃないが高いところはそんなに得意じゃない。
それにしたって私はいつあんな経験をしたのか、花や海の彩りから恐らくそう遠い過去ではない事が分かる。近い過去にわたしは誰といたんだろう。
ヒントといえば身につけていた服と手の中の感触ぐらい。
『…ダメだ、さっぱりだよ』
逆立ちしてみても何にも降りてこない癖に。思い出すだけで心がほっこり暖かくなるような記憶なのは確かだった。
正直、シャンクスさんのこの船は居心地が良い。毎日の彼の猛アピールは置いておいて、彼自身もクルー達もよくしてくれる。最初こそ疑心的だった副船長さんも今では付きまとうシャンクスさんをひっぺがして逃がしてくれる程に優しい。
しかしどうしてもここにいるのが違和感でしかないのだ。ここではないどこかに自分の居場所がある気がしてならないのはきっと一種の執着だ。そこが過去の自分にとって欲しくて堪らなくて、やっと手にした居場所だったのだろう。
このふわふわとした感覚も致し方ないというもので。
『海でも見よう…』
こんな頭で考えたって何も浮かばない。気晴らしに甲板に出てみようと部屋を抜け出す。海賊船にしては広い船内からするに、シャンクスさんは案外すごい海賊なのかもしれないな。
すれ違うクルー達と軽く会話を交わしながら廊下を歩くこの感覚。どこか懐かしくて頬が緩む。
甲板に上がると数名の船員達がのんびりと海を眺めたり武器の手入れをしたりと思い思いの時間を過ごしていた。
船｢おっ、日光浴かい？｣
のんびりと寝転がる船員の一人が私を見つけて手を上げる。
『ええ、気晴らしにと思って…』
船｢ははっ、そりゃあのんびりしてくと良いさ。今ならお頭も来ねえだろうし｣
そう言ってまた昼寝を再開する船員。この人といいなんて呑気な集団なんだろう。船縁に寄りかかってどこまでも広がる海を眺める。今日はよく晴れていて、海も凪だ。澄み切った青と陽に照らされて水面が1番遠くで混ざってとても綺麗。青は見ているとやけに安心する。
船内へと続く扉が勢いよく開かれ、中からは満面の笑みを浮べるシャンクスさんが出てきた。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
