目覚め3 ページ20
(side You)
リンゴを差し出された彼は大きく目を見開きそれからにっと笑ってリンゴを掴んだままの私の手を引き寄せた。手の中のリンゴを一口シャクリと齧られる。
近づいた男の顔はやけに整っていて先程までの陽気さから一転。赤く燃えるような髪から覗く涼やかな顔は大人の色気を感じさせた。
この人、黙っていれば相当の美形なのに。
？｢甘いな…｣
喉を鳴らして飲み込むと男は視線だけこちらに向けて舌を舐めずった。そして何か企むような怪しい笑みを浮かべ、掴まれていた腕が離され代わりに腰に手を回された。
？｢行き場が無いのなら、この船に乗れ。共に世界を見て回ろうじゃないか｣
ゾクリと鳥肌が立つような野生の瞳から目が離せなくなる。やけに余裕のあるその口ぶりは有無を言わせないとばかりに迫力を持って迫ってくる。
『あ、の…』
？｢何だ、怖気付いたか？｣
挑発するような好戦的な態度に少し苛立つ。それよりもまず、聞かなければいけないことがあるのだ。
『その…あなたのお名前は…？』
？｢……それは何かの冗談か？｣
ほんの僅かな距離で顔を見合わせる私たち。お互いがお互いの言っていることを理解出来ていないのだ。彼からすれば当然の反応だろう。しかしわたしも精一杯なのだ。
？｢お前、まさか…｣
『ごっ、ごめんなさい…どうしても何も思い出せなくて…私は一体どこにいて、あなたとはどこで…？』
勢いに任せて頭に浮かぶ疑問を次々並べる。目の前の男は呆気に取られた顔で口をぽかんと開けている。ひとしきり私の問いを聞いた後に男はポツリと言葉を零す。
？｢お前…記憶が無いのか？｣
おずおずと頷くとようやく相手も噛み合わない会話へと合点がいったのか、溜息を零して頭を抱えた。
？｢そうか…頭をどこかで打ったんだな…可笑しいとは思ったが｣
『すみません…』
少し考え込んだ男はウンウンと頷き、再び顔を上げた時にはにっと笑みを浮かべていた。
？｢まあ、いつか記憶も戻るだろう。戻らねぇ時にはこのままこの船にいればいい。お前は何も心配する事は無い｣
太陽のような笑顔で安心させるように言い聞かされる。優しく頭を撫でる手が妙に心地良い。
？｢俺の名はシャンクス。ついでにお前の名はAだ。今はそれだけ分かっていれば良い｣
頭を撫でていた手は頬に添えられ、緩く目が細められた。とんでもなくいい加減な言葉だが、そこには何故か絶対的な安心感があった。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
