幸せの少女 ページ1
(side You)
ラ｢Aさ〜ん、おかわりー！｣
甘いカクテルを気に入り、おツマミには目もくれずに3杯飲んだラグナちゃん。既にふにゃりとし始めていた。
『そうですね…まずはお水を飲みましょうね』
項垂れる彼女の前に水を注いだグラスを置き、ふわふわの髪の毛に指を通してひと撫ですると、気持ちよさそうに目が細められた。それは母親に甘える子猫のようでとても可愛らしい。
イ｢まるで親子だな｣
そう言ってお酒を煽るイゾウ隊長は、先程からふにゃふにゃし始めたラグナちゃんを呆れたように見ていた。
あのワインを開けた日から、ラグナちゃんはここを気に入ってよく来てくれるようになった。あれからは甘いお酒を作るようにしている。美味しそうに飲むその顔は最近の私の癒しになりつつある。
ラ｢はあぁ、わたし、この船も、このバーも、Aさんも、みんなも、だーいすき｣
両手の間に顔を埋めてラグナちゃんがポツリと呟く。私とイゾウ隊長は顔を合わせて、それから頬を緩めて彼女に視線を戻した。彼女は見守られる中、静かに寝息を立て始めた。
彼女は次の島でこの船を降りる事になっている。
この呟きは、彼女の心からの声だろう。クルーも私もナースさんも、厳しく当たるマルコ隊長でさえも、彼女を同じ家族のように、愛を持って短い日々を過ごしていた。
海賊船に夢を持つのは、あまり賢い選択ではないだろう。今日、明日、１ヶ月、1年。誰かが死んでまた新しい仲間が増える。割り切らなければ船の上で生きる事は難しい。
それでも、この船で過ごした日々が彼女の中で輝いているのだろう。
他のクルーに引けを取らない程に彼女は強い。自分の身を守ることだって出来るはず。それでも、戦闘員としてこの船に乗る事は許されなかった。親父さまの決定が絶対なのだ。
そうなると益々自分の立場に首を捻りたくなる。この子を追い出して自分がのうのうとしているのも如何なものだろうか。
イ｢A、お前さん、またしょうもない事考えてるんじゃないだろうな｣
ちらりと鋭い視線が向けられる。何もかもお見通しで背筋が凍りそうだ。
イ｢女ってのは難儀だな、海賊であるのに理由なんかいらねえ筈なのに、そいつが許されねえ｣
寝息を立てるラグナちゃんの頭をイゾウ隊長が軽く撫でると、気持ちよさそうに頬を緩ませた。
『そうですね…』
イ｢俺達は本気でこいつの幸せを願ってるのさ｣
撫でるのを辞めたイゾウ隊長は静かに酌を進めた。
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がまお(プロフ) - ちルチルさん» ありがとうございます！！過去編もうちょっとだけ続くと思われます！これからもどうぞお付き合い頂ければ嬉しいです！！ (2019年5月13日 23時) (
レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
ちルチル - ついに過去編来ましたか！過去の夢主ちゃん可愛いですね〜(´ω`)これからも応援してますからどうぞ更新頑張って下さい！ (2019年5月13日 15時) (レス) id: d78596acdf (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - 焔さん» わあ！ありがとうございます！とっても嬉しいお言葉…！感無量です！ファンだなんておこがましすぎますが頑張らせていただきます！これからもどうぞお付き合いください！ (2019年4月19日 22時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
焔(プロフ) - がまお様 Twitterの通知からこちらに来させて頂きました。とてもお話が面白く読みやすく没頭してしまい一気に読ませていただきました。ファンになりました、応援さてください！続きも楽しみにしております。 (2019年4月19日 2時) (レス) id: 05617d7299 (このIDを非表示/違反報告)
がまお(プロフ) - シャノワールさん» ありきたり展開で申し訳無いです…（;∀;）少しでも面白いと思って頂けるように頑張ります！！これからもどうぞ暖かい目で見ていただければと思います！ (2019年3月29日 1時) (レス) id: e776fbd167 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：がまお | 作成日時：2019年3月15日 15時
