あ、黄金じゃない方のマンネです ３

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SideSH


『..............ヒョン、いま僕に見惚れてます？』

SH「え」

Aは別にからかうでも、まじめにでもなく、どこまでもフラットに、なんてことない質問をするみたいにそう聞いた。

SH「まあ........そうだな。綺麗だよなあって思った」

こういうところだ。Aは嫌味なく、完全に自分の価値を理解してる。外から自分がどう見られているのか、奢ることなく卑下するでもなく。

だから演技が上手い。

Aは求められてることを瞬時に察知する能力に長けている。台本におけるテーマ、場面の役割。完全に意識的かと言われるとそうではないかもしれないが。

『そんなに良いんですかね、この顔が』
SH「嫌いなのか？」

『いいえ、好きでも嫌いでも、っていうかそんな感情もないです。僕はこうやって生まれただけなので』
SH「なんの感情も？」

なんの感情もない、という言葉は信じがたい。

俺だって、別にAほど顔がいいわけじゃないし、今テレビに出ている俳優の中でも１番のイケメンかと問われるとYESとは言えないが、この顔があったからこの仕事につけた、とは思っている。
オーディションの場で、最終的に顔で選ばれた、なんて体験はざらにある。

だからこそ、容姿で評価されることの多い芸能界で生きるAが自分の容姿に一切の感情を持たないのはあまりに不自然だ。必ずしも好きである必要はないが、何かしら思うところはあるはずだ。
特にアイドルなんて、俳優よりももっと。

『.................僕が、この顔について何か思うことは、その、..........そんなことは許されないんじゃないかな、って』
SH「許されないって、どうして」

『.........僕は、多分この顔がなかったら防弾に入れてなかったです。お芝居の仕事も、きっかけは顔でしたし。でも、それは逆に、たまたま僕がこんな顔だったから、人より多くチャンスがあって、今ここにいる。僕より優れた人っていうのはいっぱいいて、なのに対した努力もしてない僕が、この顔を見せるだけで認められる』

SH「待てよ、努力もしてないって、それでもお前は」
『歌とダンスに費やしてきた時間に比べれば、僕が容姿や、お芝居にかける時間なんてほんの少しです。認められるためにはなんだって試すつもりですけど......せめて、僕はこの容姿にできるだけ距離を置いて生きようと思ってるんです。僕は、努力しても報われない辛さも、手放しに褒められる恐怖も知ってるから』

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