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SideMG
「ま、今日で活動は一旦終わるし、致命的ってほどじゃない。気を落とすなよ」
つとめて軽い口調で言ったが、Aは無言のままだった。
宿舎まで、松葉杖をついて歩くのだが、慣れないのかかなり危なっかしくて、結局横抱きで運んでやる。
「ちゃんと食ってる、んだよな。お前かなり食うもんな」
自分より身長は高いのに、質量を感じないほど軽い。車の中でもお菓子食ってたのに。
『太らない体質らしいです。両親はぽっちゃりなんですけどね』
クレンジングシートでゴシゴシ化粧を落とした肌は生まれたてみたいにツルツル。体毛が薄いのか腕なんかもツルツルで、本当に恵まれた体だ。
『........そうですね、僕は恵まれてるのかも』
「え」
口に出てたか。
『筋肉はつかないし、皮膚も固くならないし、かっこいい歌声も出ないけど、見た目は恵まれてるって、わかってるつもりですよ、僕』
「悪い、そういうことじゃ」
こいつがメンバーに内緒で医者に行った時、連れて行ったのは俺だった。
どうすれば筋肉がつくか、喉を鍛えるにはどうしたらいいか。困り果てて医者まで行って、それでも打つ手がなかった時。
それでもAは、ただ俯いて耐えていた。決して、もう嫌だ、とは言わなかった。唇を噛んで。言うまい、と。
『やっと、見つけられると思った途端、これです。でも、今日を乗り切れたのはこの顔のおかげですもんね』
笑顔で見上げてくるA。泣き出しそうにも見えるのは、勝手な思い込みか。
「でも、お前変わったじゃんか」
『え？』
「今日の歌、今までで一番よかったぞ」
『何も変わってませんよ。むしろ力入んなくて、震えて........』
文句言われても仕方ないです、と行って、両手で抱えていた松葉杖を地面に突いた。もう宿舎のAの部屋の前だ。
「いや、ほんとに。今日の歌はなんか、違った」
スタジオに響いた声を思い出して、Aの背に声を掛けるがAはまるで反応しない。
『ありがとうございます。もっと、頑張ります。そしたら褒めてください。............それじゃ』
パタン、とあっさり扉は閉まった。
「気づいてないのか.............」
放っとくと決めたからには見守るしかない。
「頼むぞ、あいつら.........」
A送迎完了、とまだエンディング中であろうメンバーに報告し、宿舎を出る。Aの部屋にはカーテンがぴっちり、光を一切遮るみたいに閉じられていた。
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a - ストーリー、文章も含めて全て大好きです！！！！こんな素晴らしい文章どうやったら書けるのか、、、！羨ましいです！更新ありがとうございます！生きる糧！ (2021年5月11日 1時) (
レス) id: 1f701e5d62 (このIDを非表示/違反報告)
うんぴこ - 主人公がやたらとメンヘラっぽいな (2020年4月22日 10時) (レス) id: 4828d3fec9 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - この作品とっても好きです。軽くなくって、それぞれの葛藤とかが見えて本当に素敵です。更新ありがとうございます。 (2019年12月21日 21時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
アニメ - 更新楽しみにしていました！本当に興味深く読ませて頂いております。類を見ない読み応えが有り…投げ銭でもできれば良いのにと思う程です！今後も応援しています。お身体に気をつけてください。 (2019年12月18日 2時) (レス) id: 7e8f44eb3a (このIDを非表示/違反報告)
s - 最近読み始めました！ すごく好きです！ 更新頑張ってください！楽しみにしています (2019年12月14日 23時) (レス) id: 319f919f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すばる | 作成日時：2019年8月4日 23時
