PLASE 1 ページ25
SideJM
Aは風呂場で足を冷やしてからリビングに戻ってこなかった。
階段を上がる音がしたから部屋に行ったんだろうけど、どうしても追いかけられなかった。
僕たちはAの選択を見守ると決めた。けど、そうやって選択を待ってあげることって、結局Aをこのグループから突き放して遠ざけてる事になるんじゃないのかと、さっきのAの態度で気づいた。
元からAはあまりボディタッチが多いほうじゃなかったけど、あんな風に振り払われたことなんてないし、そんな乱暴なことをAはまずしない。
それなのにAをそうさせたのは、僕らに距離ができてしまっていたから。そしてそれに気づかずに、Aは1人で悩んでいたのかもしれない。
そんな事に今更気づいて、どのツラ下げてAに会いに行けって言うんだ。
だいたいなんて言えばいい？“Aがやめちゃうと思って様子を見てた”？“Aが俳優を選びやすいように距離を置いた”？
どれもAのことを考えてやったことのはずが、言葉にするとそれがどれだけ身勝手なことだったかわかる。
僕は考えが足りなかった。ヒョン達の言葉に簡単に頷いて、自分で考えようとしてなかった。
いや、信じてなかった。
僕は単に、Aのことを信じていなかったんだ。
部屋でひとり、蹲っていると階下の玄関から音がした。そのまま通り過ぎて足音はAの部屋へ行くから、同室のジョングクが帰ってきたんだろうか。
あいつはAになんて言うんだろう、とぼんやり考えていたら、どん、と物音と怒鳴り声。
よく響く声はジョングク。壁に埋もれるような声はAか。
しばらく言い合いが続いたと思ったら、急に声がぱたっと止んだ。
内容までは聞こえてこないけれど、言い合いの決着がついたのか、怒鳴り声も物音も聞こえない。
『知ってるよ』
ぞくり、と。急に声が鮮明に聞こえた。
声は明らかにAのもので、さっきまでは壁越しにくぐもってジョングクの怒鳴り声でさえ話している言葉までは聞き取れなかったのに、いまははっきりと聞き取れる。
声を張り上げてるわけじゃない。なのに、Aの声が壁を刺すように隣の部屋の自分の耳まで真っ直ぐ届いてくる。
普段のAの雰囲気じゃない。毒ヘビが体を這い上がってくるような、感覚、恐怖。
僕は部屋を飛び出した。
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a - ストーリー、文章も含めて全て大好きです！！！！こんな素晴らしい文章どうやったら書けるのか、、、！羨ましいです！更新ありがとうございます！生きる糧！ (2021年5月11日 1時) (
レス) id: 1f701e5d62 (このIDを非表示/違反報告)
うんぴこ - 主人公がやたらとメンヘラっぽいな (2020年4月22日 10時) (レス) id: 4828d3fec9 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - この作品とっても好きです。軽くなくって、それぞれの葛藤とかが見えて本当に素敵です。更新ありがとうございます。 (2019年12月21日 21時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
アニメ - 更新楽しみにしていました！本当に興味深く読ませて頂いております。類を見ない読み応えが有り…投げ銭でもできれば良いのにと思う程です！今後も応援しています。お身体に気をつけてください。 (2019年12月18日 2時) (レス) id: 7e8f44eb3a (このIDを非表示/違反報告)
s - 最近読み始めました！ すごく好きです！ 更新頑張ってください！楽しみにしています (2019年12月14日 23時) (レス) id: 319f919f05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すばる | 作成日時：2019年8月4日 23時
