DAY 70 ページ22
SideRM
この地での最後のコンサート。
アンコール前の曲を終えて、舞台裏へ足早に戻る。
RM「っ！？」
階段を下る途中、不意に視界の端で何かが迫ってきて、とっさにそちらに手を伸ばす。
JK「ヒョン！」
俺の右手に倒れかかってきたのはAヒョンで、狭い階段で、片手では流石に支えきれないか、と思ったら、Aヒョンの後ろを歩いていたジョングクが後ろから抱きしめるように支えたから、なんとか３人とも階段を踏み外さずに済んだ。
「またか、」とつぶやいたのはスタッフか。
確かに、ヒョンはここ最近、毎日のようにこんな風になってしまう。
休めと言っても、怪我ではないしコンサート中に何も影響しない、と言い張ってヒョンは穴を開けることを嫌がった。
確かに、意識を失うのは数分で、そのあとは多少ふらつきながらも自力で歩くし、次の日にもちゃんとリハーサルも本番も問題なくこなしてしまうから、文句があるか、と言われてしまうと言葉がない。
ただ、ものすごく心配して、ハラハラして、痛ましいヒョンの姿を見るのは苦しい。
今回はアンコールが残ってる状態で倒れこんだヒョンだったが、すぐに意識を取り戻した。
JN「A。いい加減、もう休め。アンコールは出るな」
『なんでだよ。もう大丈夫だって言ってるだろ』
JN「ダメだ。もうこれ以上は許せない」
ソファに横たわるAヒョンと、その脇に座ったジニヒョン。
VCRの間、誰も何も言えなかった。珍しく、と言うか多分初めて、ジニヒョンがものすごい剣幕で怒ってる。
俺たちは怒鳴りあうヒョン達を、ただ、見てることしかできなかった。
正直言うと疲れもあった。コンサートの疲れと、精神の疲れ。時間がないせいで、何も話せず、自由も許されない状況の中で、多分俺たちはみんな、おかしくなっていた。
デビュー当時はこんなことなかった。なんでも話し合ったし、喧嘩した。殴り合ったこともあった。
それがどんどん立場が上がるにつれ、自由がなくなって、心の動きもどんどん狭くなっていく気がしている。
それはきっと、目の前のヒョン達も。
楽屋は汗や熱気でとても暑いのに、この状況を見つめる俺たちはきっと、誰よりも、何よりも冷たい。冷え切っている。
またか、と呟くスタッフのため息混じりの言葉に心が動かなかった時点で、きっと俺は、俺たちはもう。
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星野あかり(プロフ) - このお話を書いて下さり本当にありがとうございます。このお話に出会えて､読むことができてよかったです。生きててよかった。 (9月3日 20時) (
レス) @page38 id: 743718b8cd (このIDを非表示/違反報告)
S - 更新ありがとうございました。とても素敵な作品で大好きです。この作品の登場人物は、私の心に実際に生きて、新しい話を読むごとに、その人生を歩んで行きました.最期まで幸せにしてくれてありがとうございます.私はこれからもこの物語の登場人物とすばる様のファンです (2020年3月22日 1時) (レス) id: 39cbc60f3e (このIDを非表示/違反報告)
青衣(プロフ) - 更新嬉しいです。戻ってきてくれてありがとうございます (2020年3月2日 20時) (レス) id: 13074a2c40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すばる | 作成日時：2019年6月3日 0時
